無気力な雰囲気はその後、左翼学生たちの間にも広まっていく。1968年の東大紛争の終結とともに、学生運動が急速に沈静化していったからだ。彼らは「シラケ世代」と呼ばれ、流行語にもなった。自身も学生運動に身を投じた社会学者の上野千鶴子氏も、実体験としてこう振り返っている。
「学生運動で、結局私たちは敗北。その後私は向上心も向学心もゼロの無気力学生になりました。することといえば、セックスと麻雀だけ(笑)。大学院に行ったのも、就職活動をしたくなかった、それだけの理由からです」(anan 2023年1月14日)
このような歴史の教訓から分かるのは、若者は受験戦争や学生運動といった「目標や理想に向けた戦い」が終わると、何事にもやる気がわかず、働くことも考えられなくなり、「無気力状態」に陥りやすいということだ。
これは令和の若者にも当てはまる。
いくら少子化で売り手市場だからといっても、「就活うつ」という言葉があるように、就職活動は多くの若者にとってストレスが大きく、つらい「戦い」である。
これをどうにか勝ち抜いて内定を得ても、それは束の間の休息に過ぎない。嫌な上司や先輩にあたったらどうしよう、職場の雰囲気になじめるのか、仕事を覚えられるのかといった不安が山積みで、そうした長い「消耗戦」がようやく終わるのは、入社後の研修などが終わり、本格的に配属されるころだ。つまり、「5月」だ。
そのタイミングで多くの若者が「無気力」になるのは、理にかなっている。
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