シンガポールと東京を拠点にサイバーセキュリティサービスを展開するサイファーマのクマル・リテシュCEOは、「ルーチン業務はAIエージェントが肩代わりする。人間はより創造的・高付加価値業務へシフトできるため、全体的に業務が向上していく」と語る。
リテシュCEOは、「エージェント企業」ともいえる新しい経営モデルが登場するだろうと指摘。自律的なエージェントが意思決定を最適化し、プロセスを監視し、成長ドライバーとして働くことで、限られた人員でも高度な運営が可能になるという。
要は、AIを「便利なツール」から「協働するワークフォース」へと一段引き上げるのがエージェントだ。それに伴って組織構造やワークフロー、競争優位の源泉までもが再定義されつつある。
ところが、今のようにデジタル化された世界では、攻撃者側もAIを武器として活用する。
つまり、AIエージェント的な能力を最も先鋭的に利用し始めているのは、必ずしも善良なユーザーだけではない。サイバー攻撃者はAIを積極的に活用し、攻撃のスピードとスケールを劇的に引き上げている。
かつては数日から数週間かかっていた攻撃のサイクルが、AIの活用により数時間単位に短縮される。AIは、これまで高度な専門知識が必要だった作業の多くを自動化し、国家レベルの攻撃者だけでなく、技術力の低い犯罪者にまで高度な攻撃能力を与えつつある。
リテシュCEOによれば、サイバー攻撃者の典型的なAI活用パターンは、次のようなものがある。「インターネット上にある、企業のシステム資産のスキャンが可能になり、(セキュリティの穴を埋める)パッチが行われていない脆弱性や設定ミスの検出、ソースコード解析、攻撃シナリオの自動生成といった自動偵察・脆弱性探索を行えるようになる」
さらに「パーソナライズされたフィッシングメールや、CEOを装った詐欺などに用いる音声やディープフェイクを生成できる。また、複数のエージェントを組み合わせることで、偵察、システムへの侵入、侵入先から別のシステムへ感染を広げる行為、データ窃取、痕跡消去を自動的に進めることもできてしまう。正規ユーザーの行動パターンを巧妙に模倣して防御システムをすり抜ける『バイブハッキング』と呼ばれる手法もすでに登場している」とリテシュCEOは指摘する。
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