2026年4月26日から29日の4日間にわたり、米国アリゾナ州のフェニックスで米市場調査会社Forrester主催の「B2B Summit North America 2026」が開催された。この中核テーマとして打ち出されたのが「GTMシンギュラリティ」という概念だ。
BtoB企業が過去20年にわたって前提としてきた「マーケティングが育成したリードを営業へ引き渡し、商談化する」という従来型のGTM(Go-To-Market:市場進出戦略)が通用しなくなっている、とForresterは警鐘を鳴らした。
「もちろんAIによる購買プロセスの変化も大きい。しかし、GTMシンギュラリティの要因は、それだけではない」と語るのは、シンフォニーマーケティングの庭山一郎氏だ。
12年連続で同カンファレンスに参加し、海外の最先端の情報を取り入れながら、日本のBtoBマーケティングをけん引してきた庭山氏。激変するBtoBマーケティングの新常識を聞いた。
これまでBtoBマーケティングの標準モデルとされてきたのが「Demand Waterfall Model」だ。これは、Forresterの前身である米SiriusDecisionsが2006年に提唱したフレームワークである。
認知→興味・関心→検討→購入という購買ファネルを前提に、マーケティング部門が大量のリードを獲得し、MQL(Marketing Qualified Lead:マーケティング活動によって購買確度が高まった見込み客)へ育成。その後、営業へ引き渡して商談化・受注につなげる、という考え方だ。
しかし庭山氏は「GTMシンギュラリティが提唱される以前から、このモデルの限界は見えていた」と指摘する。
その象徴が、2017年にSiriusDecisionsが発表した「Demand Unit Waterfall Model」だ。ここで大きく変わったのは、“マーケティングが追いかける対象”である。従来は“個人”を単位とする「リード」を管理していたが、新しいモデルでは「Buying Group」(企業の購買に関与するグループ)を中心に据えた。
BtoB企業、とりわけエンタープライズの購買では、一人の担当者だけで意思決定が完結することはほとんどない。現場の担当者が情報を集め、その後、上長、購買部門、情報システム部門、役員層へと検討が広がっていく。その過程では複数人が関与しながら、組織として意思決定が進む。これがBuying Groupだ。
つまり、従来のようにカスタマージャーニーを描き「このチャネルでこのコンテンツを当てて、この反応があれば興味・関心が高まったとみなし、スコアを付与する。スコアがこの値を超えたら、次のフェーズへ進めよう」といった形でリードを追跡していても、実際の購買プロセスの全貌は見えてこない。
さらに近年では、データ取得やトラッキング技術の進化によって「リードをカスタマージャーニーに沿って追跡してみると、その軌跡は途中で途絶え、実際には誰も購買までたどり着いていなかった」という現実も明らかとなってきた。
こうした背景から、Forresterは2024年に「Goodbye MQL. It’s time to talk about Buyer Group.」(もうMQL個人を追いかけるのはやめよう。これからは購買グループについて考えるべきだ。)というメッセージを打ち出している。
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