サイバーエージェントの狙いを整理する上で、ここで一度、プロレスIPを取り巻くマクロ環境を確認しておきたい。
2024年1月、米Netflixは世界最大のプロレス団体である、米World Wrestling Entertainmentの旗艦番組『Monday Night Raw』を、10年・総額50億ドル超で独占配信する契約を発表し、2025年1月から配信を開始した。初回放送の米国視聴者数は260万人と報じられている。
プロレスの主戦場は、もはや地上波ではなく配信プラットフォームそのものに移っている。その潮流を踏まえると、サイバーエージェントの狙いはさらにとがっていると筆者は考える。
同社はすでに2017年にDDTプロレスリング、2020年にプロレスリング・ノアを買収し、2020年9月に両団体を統合してCyberFightを設立した。さらに東京女子プロレスも傘下に収め、2025年12月からは有料視聴プラン『ABEMA de レッスルユニバース』のサービスを開始した。
ここに国内トップの新日本プロレスが加われば、サイバーエージェントは事実上、国内主要プロレス団体の大半を配信権ベースで握ることとなる。
サイバーエージェント会長である藤田晋氏のスタンスは明快だ。
ABEMAは恋愛リアリティショーやスポーツ中継で「ライブ性の高いコンテンツ」を強みとしてきたが、プロレスはその親和性が極めて高い部類に入る。新日本プロレスは2021年4月からABEMAで毎月生中継されており、サイバーとの相性は実証済みだ。今回の株式46.3%取得は、両者の関係性をより強固なものにする布石だろう。
ブシロード時代の新日本プロレスが「興行団体としての復活」を遂げたとすれば、テレ朝×サイバー体制の新日本プロレスは「配信時代のグローバルIP」への再定義を求められる。
鍵は海外のプロレス市場にどれだけ食い込めるかであろう。ここが機能すれば、新日本プロレスは「日本のプロレス団体」ではなく「日本発のスポーツエンターテインメントIP」として、あらためて世界に売られていくことになる。
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