見逃せないのは、こうした現象がビールだけに限らないことだ。例えば、焼酎を割って飲むホッピーも、大衆酒場ブームとともに若い世代へ広がったブランドとして知られている。また、飲食店向けとして親しまれてきたキンミヤ焼酎も、「酒場で飲んで知った」という人が少なくない。いずれもテレビCMに頼って成長したブランドではない。
共通するのは、広告よりも飲食店での体験が認知拡大の起点になったことだ。店主に勧められ、友人に教えられ、気になって注文する。いわば、店そのものが広告塔となってブランドを育ててきたともいえる。
このような話を紹介すると、「順風満帆だな」などと思われたかもしれないが、課題もある。認知度だ。サッポロの黒ラベルやヱビスと比べると、広く知られているとは言い難い。「であれば、テレビCMを打てばいいのではないか」という声もあるそうだが、同社にその予定はない。なぜか。
マーケティング本部の桑村美里さんによると、同ブランドが大切にしているのは「人から人へ伝わる商品であり続けること」だという。
「父親が飲んでいた」「上司に勧められた」「お気に入りの酒場で初めて飲んだ」――。このビールは、そんな誰かとの思い出と一緒に語られることが多い。「メーカーが一方的にメッセージを発信するのではなく、お客さま自身が語れる余白を残したい。そのほうが赤星らしいと思っているので、いまのところテレビCMは考えていません」(桑原さん)
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