もっとも、発売当初から売れていたわけではない。
2021年から2023年までの累計販売数は、約10万本にとどまった。新しいカテゴリーの商品だったため、用途や価値が消費者に伝わりにくかったようだ。店頭の棚に並べても、数週間後にはワゴンセール商品になるなど、自社のECサイトで細々と販売している状況が続いた。
転機となったのは、2023年夏だった。
北海道在住の女性が、SNSに「エアコンのない小学校に通う息子に持たせたら良かった」といったコメントを投稿したところ、大きな反響を呼んだ。投稿はテレビでも紹介され、口コミが拡散。各地で品薄状態となった。
その後、販売は急拡大した。2024年には単年で約10万本を販売。さらに2025年にはラインアップを4種類に拡充し、年間約80万本を売り上げる主力商品へと成長した。
現在では類似商品も増え、携帯氷のう市場そのものが拡大している。
人気の背景について、商品戦略部の担当者は「『ピーコック氷のう』や『アイスパック』といったキーワードで商品を探す消費者も増えていて、カテゴリーを代表するブランドとして認知が広がっているのではないか」と見ている。
かつて氷のうは、発熱時などに家庭で使う道具だった。しかし猛暑が常態化する中、その役割は大きく変わりつつある。
「水を飲む」ための技術を、「体を冷やす」ために応用したアイスパック。昭和から続く道具が、令和の暑さの中で新たな市場を生み出している。
ITmedia デジタル戦略EXPO 2026 夏では、各分野の第一人者や企業の現場でビジネス変革に取り組むリーダーの声を通じて、経営×IT×現場のコラボレーションで全社変革を進めるヒントをお届けします。
AIを活用したデジタル戦略が必須となる中、ダイハツ工業や旭化成、NOT A HOTELなどビジネス変革に取り組む企業の「当事者の声」を通じて、現場のリアルな課題解決方法を探ります。視聴登録はこちらから。
ソニーの“着るエアコン”が売れ続ける理由 生産量は初代比10倍に拡大
なぜ「屋外エアコン」は10分で完売したのか コロナが見つけた“家の外”という新市場
「ファン付きウェアの次」は“冷やす服” サンコーの「冷蔵服」が累計12.8万台を突破した理由
ドンキ、“風がスースー”の布団を投入 エアコンつけっぱなし時代の新寝具Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング