店舗のリニューアルでは2026年6月期第3四半期までに5店舗を「西友モデル店舗」とした。前述の通りトライアル商品を強化したほか、トライアル流の棚割りを適用し、売場レイアウトの最適化を実施したとしている。
東京都江東区にある東陽町店はモデル店舗の一つだ。リニューアル後、一部消費者からは「安い商品が増えた」「店内が明るくなった」などの評価を得ている。なお現時点で、東陽町店ではレジカートを導入していない。
また、4月までの間に西友の3店舗を「トライアル西友」に業態転換した。11月に開店した花小金井店は1階が食品コーナーで2階は酒類・生活雑貨・衣料品売場という構成だ。テナントとしてセリアやヤマダデンキも出店している。
食品売場では生鮮コーナーを拡充し、精肉を店内加工に切り替えた。他の西友店と同様にトライアル商品も販売する。酒類コーナーを2階に移動したことで、酒類の商品数を倍以上に増やした。得意のITではSkip Cartや大型サイネージを導入している。
こうした施策が効果を発揮したのか、決算資料によると西友の成績は好調だ。特にこの1月以降、既存店客数は前年比で105%を超えているという。東陽町などモデル店舗は客数・客単価ともに全体平均を上回る水準だ。
トライアル西友の花小金井店に関しては、業態転換後5カ月の実績で客数・売上高ともに増加ペースが4割を超えたとしている。総菜・生鮮の拡充がファミリー客の集客につながった可能性がある。とはいえ他の小売店と同様に原材料費の上昇で西友も製品の値上げを実施しており、その効果も否定できない。
西友の買収価格は約3800億円で、子会社化によりトライアルHD全体の資産は著しく増加した。負債合計も2025年9月末時点の1700億円規模から、2026年3月末には約6500億円に増大している。単なるエリア拡大に向けた小規模チェーンの取得ではなく、東日本進出のための大博打とも捉えられる。
買収に当たっての資金は、増資ではなく銀行からの借り入れでまかなった。2027年6月期からの3年間で1150億円を返済に充てるとしている。巨額の借入金を返済するため、トライアルHDは今後も西友の改善を続けなければならない。
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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