「東京41万円、青森26万円」18年で最大 賃金格差はなぜ広がったのかスピン経済の歩き方(1/6 ページ)

» 2026年07月01日 10時55分 公開
[窪田順生ITmedia]

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スピン経済の歩き方:

 日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。

 本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。

 「もう都会で働くのは疲れたから、田舎で空き家なんかを安く借りながら、仕事を見つけてのんびり暮らすのもいいかな」――。

 そんなセカンドキャリアをひそかに夢見ているビジネスパーソンにとって、シビアな現実が突きつけられた。東京都に比べて地方の給料が安いことは周知の事実だが、都会暮らしの人々の想像をはるかに上回るほど、格差が広がっていたのだ。

 厚生労働省が発表した「賃金構造基本統計調査の概況」によれば、2025年の東京都の月額賃金は平均41万8300円。一方、最も低かった青森県は26万3900円で、東京都との差は15万4400円だった。2番目に低かった宮崎県との差も約15万円だった。さらに山形県、岩手県、秋田県、沖縄県などが続く。この格差の開き具合は、2007年からの18年間で最大となったという。

 なんとも衝撃的な話だが、筆者がこれよりも衝撃を受けたのは、ここまで格差が広がった理由について説明した厚生労働省担当者の以下のコメントだ。

「都市部への大企業の集中が地域間格差に反映された可能性がある」

 コメントが都合よく切り取られた可能性もあるが、この説明にはかなり疑問が残る。

 「どこがだよ! 大企業は中小企業より給料が高いのだから、そうした企業が多い地域の給料が高いのは当然だろ」と思ったそこのあなたは「大企業中心主義」にとらわれてしまっている。こうした考え方は、政治家や官僚、経済評論家などによく見られる。日経平均株価や春闘といった大企業中心の指標や出来事で、日本経済のさまざまな問題を説明しようとする傾向がある。

 本連載で繰り返し述べているように、日本の全企業の99.7%は中小企業で、日本人の7割はそこで働いている。「中小企業は大企業の下請けなのだから影響がある」という指摘もあるだろう。しかし、大企業と下請け取引関係にある中小企業は5%未満だ。大企業の影響は、世間で思われているほど大きくない。つまり、各地の賃金水準は、大企業が多いか少ないかだけで語れるような単純なものではないのだ。

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