「東京41万円、青森26万円」18年で最大 賃金格差はなぜ広がったのかスピン経済の歩き方(6/6 ページ)

» 2026年07月01日 10時55分 公開
[窪田順生ITmedia]
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「失われた30年」が証明したこと

 このような話をすると、「成長できない中小企業は切り捨てるのか」とか「弱者切り捨てだ!」と不快になる人も多いだろうが、時代の変化に対応できない経営者が市場から退場するのは、世界では当たり前だ。

 国際比較でも日本は諸外国に比べて廃業率が低いことが分かっている。これは日本の経営者が優秀なのではなく、国が高度経済成長期にできた「中小企業保護政策」を長く続けてきた恩恵もある。

 ご存じのように、これからの日本は急速に人口が減っていく。ならば、それにともなって法人の数も一定程度減少していく可能性がある。

 先ほど述べた日本の「大企業中心主義」の問題は、景気や賃金は大企業が良くなれば自然と下まで行き渡るという幻想を国民に抱かせたことだ。国が補助金を経営者に投入すれば、その恩恵はいつか末端の労働者にも配分されるはずだという、トップダウン型の発想を社会に浸透させた。

 しかし、その効果には限界があったことを「失われた30年」は示している。これからは発想を逆転して、まず生活の苦しい労働者の賃金を引き上げて、その賃金上昇圧力によって中小企業に変革を促す。そうした環境変化によって中小企業のM&Aが進み、企業数は減っても個々の企業規模の拡大が促され、結果として賃上げの好循環が生まれる。

 そして、労働者は消費者でもある。労働者の賃金上昇は消費の拡大にもつながり、内需がGDPの7割を占める日本経済にとってもプラスになる。

 今の日本に必要なのは、企業支援を中心とするトップダウン型の経済政策から、労働者の賃上げから経済を活性化するボトムアップ型への転換ではないのか。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受


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