ナフサ供給、偏り明らかに 川上と川下で「確保量に2倍の差」 在庫最多の業界は?

» 2026年07月24日 07時00分 公開
[季原ゆうITmedia]

 中東情勢の緊迫化を背景に、ナフサなど石油製品の供給不安が続いている。帝国データバンクの調査によると、約70%の企業が事業活動への影響の強まりを実感。51.7%が在庫確保を進めるなど、供給リスクへの備えを強化していることが分かった。

photo 中東情勢に伴うナフサなど石油製品供給状況に関する影響調査を実施(画像はイメージ、出典:写真AC)

ナフサ在庫量 商流・業種別で大きな差

 事業活動への影響について、パニックがみられた3〜4月時点と5月調査時点を比較して「影響の強まりを実感している」と回答した企業は69.4%に上った。影響の内容としては「原材料・部材の仕入コスト上昇」(83.9%)が最も多く、以下「調達不安定・入手困難」(73.0%)、「調達リードタイムの長期化」(50.2%)が続いた。

photo (左)3〜4月と比較した事業全体への影響(右)事業活動に生じている影響(出所:プレスリリース、以下同)

 調達面で支障が生じている資材は「化学系加工資材」(29.6%)、「包装・物流資材」(20.2%)、「設備・建築・電子部材」(13.9%)が上位を占めた。支障が生じている資材の上位はいずれも原料そのものではなく、加工・物流段階での資材だった。

photo (左)調達上の支障が生じている資材(右)各資材別の具体的な事例

 ナフサなどの不足は、サプライチェーンのどの階層で滞留し、どの階層で枯渇しているのか。帝国データバンクは、業種別に川上・川中・川下産業に分類し、支障が生じている資材の在庫保有期間から、それぞれの商流上における在庫日数を推定、比較した。

 その結果、基礎素材・資源供給を担う川上産業の平均在庫量は50日分、川中産業では「一次加工」で52日分を確保していた。一方、中間流通を担う「卸売・流通」は39日分にとどまった。

 川下産業では在庫量に業種差があり、最も少なかったのは「建設業」で24日分にとどまった。自動車や食品製造など「最終組立」は56日分、「小売・サービス・インフラ」は45日分だった。川下全体で一律に在庫が少ないわけではなく、現場ごとに仕様が異なる建設関連など、一部の業種で在庫余力が限られている。

photo (左)商流別の推定在庫量 (右)参考:各階層・区分別の説明

 帝国データバンクは「ナフサ由来の製品群における影響は、全面的な供給停止というよりも、商流や業種によって在庫の持ち方に偏りが生じ、一部の資材・業種で調達の目詰まりが起きやすい状況である。川上や一次加工では一定の在庫を確保している一方、中間流通や建設業などでは、需要の変動や納期不安を在庫で吸収しにくい面がある」と分析した。

 企業が実施している短期的な取り組みでは「在庫の確保」(51.7%)が半数を超えた。「価格改定」(39.5%)、「顧客への納期・価格・仕様の再交渉」(37.8%)と、価格や取引条件の見直しを進める企業も多かった。

photo (左)実施している/実行できない取り組み(右)商流別 実施している取り組みの差異

 経済産業省は6月時点で、ナフサ由来の化学製品を含む石油製品について「年度を越えて供給継続できる」との見通しを示す一方、一部では供給の偏りや流通の目詰まりが生じているとしている。

 帝国データバンクは「中東情勢の緊迫化によるナフサ供給不安は、企業にとって調達体制だけでなく、収益構造や経営基盤そのものを見直す局面だ」とコメントした。

 調査は5月21〜31日、インターネットで実施した。有効回答企業数は4604社。

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