井上: 障害者雇用について、多くの企業から「どのような業務を依頼すればいいのか分からない」「任せる業務の範囲を広げるのが難しい」といった声を聞きます。
柳田氏: 当社も最初から業務が集まっていたわけではありません。立ち上げ当初は、当時の人事部長のリーダーシップのもと、全社から業務を集めるところからスタートしました。
中には難易度の高い業務もありましたが、依頼元の部署にも協力してもらいながら、実績を積み重ねてきました。その結果「こういう業務もお願いできるんだ」という認識が社内に広がり、徐々に各部署から相談や依頼が集まるようになりました。
白木氏: 「Excelを使ったデータ集計も任せてください」など、障害のある社員ができることを具体的に提示することで、相談や依頼の幅が広がるという効果もありました。
そのほかにも、社内報で発信したり、定期的な説明会を開催したりしています。障害のある社員一人一人の得意なことや、興味関心をまとめた「プロフィールブック」を作成したり、障害のある社員が主催する懇親イベントを企画して他部署と1対1で交流できる機会を作ったりしています。
こうした交流をきっかけに、元調理師という経歴がある障害のある社員に、営業担当から「このカニカマを使ったメニュー提案をしてくれない?」といった仕事の相談に発展することもありました。
私たちは社内に向けて「障害者雇用に協力してください」とお願いすることはありません。現場に聞くのは「今、手が回っていない仕事はありませんか」「困っている業務はありませんか」ということ。障害者雇用ありきで仕事を考えるのではなく、現場の課題を起点に業務を考えています。
大切にしているのは「仕事を軸に障害者雇用を進める」という考え方です。障害者雇用のために新しい仕事をつくるというよりも、現場が抱える課題を整理し、チームが力を発揮できる形へつなげていくイメージです。
もちろん、必要なサポートや合理的配慮は欠かしません。しかし、それはあくまで障害のある社員一人一人が仕事で力を発揮するためです。一人のプロフェッショナルとして、現場で必要とされている役割を担ってもらうことで事業に貢献する。この積み重ねが「成長と活躍」につながると考えています。
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