北海道を中心に店舗を構えるドラッグストア「サツドラ」。一般的なドラッグストアと比較し、肉などの生鮮食品や総菜を多く扱う店舗があるなど、道民の生活を支える存在だ。
サツドラを運営するサッポロドラッグストアーは、公式アプリを軸としたリテールメディア戦略を推進している。
「サツドラ公式アプリ」のダウンロード数は現在145万件に上る。公式アプリ利用者は非利用者と比較し、LTV(顧客生涯価値)は1.6倍。来店頻度も1.5倍に高まる。
アプリで仕掛けるのが、未購入カテゴリーの購入拡大だ。アプリで取得できる購買情報をベースに、同社が強みを持つカテゴリーで、顧客がまだ買い物をしていないジャンルを特定し、購入を促すためにクーポンを配布している。
アプリに加え、公式LINEアカウントなどのマルチチャネルでクーポン施策を実行したところ、その売り上げインパクトは既に数十億円規模に上るという。
サツドラの強みはアプリだけではない。店舗における顧客の買い物行動の分析も強化している。
取材で訪れたサツドラ北8条店には、約80台ものカメラが天井にずらりと並んでおり、デジタルサイネージも複数設置してあった。
リアル店舗での行動とデジタルデータを融合させ、顧客の買い物行動を科学しようと挑戦を続けるサツドラを取材した。
2022年に提供を開始したサツドラ公式アプリのダウンロード数は、約145万件に上る(取材時)。「1年足らずで25万人ほど増加しました」(サツドラホールディングスCDO兼サッポロドラッグストアー OMO本部 本部長 坂本武史氏)
同社はアプリに先駆け、サツドラ全店と提携店舗で利用できるポイントサービス「EZOCA」を導入している。
「EZOCAにはすでに200万人を超えるユーザーがいます。EZOCAのユーザーや来店したお客さまに対し『サツドラでの買い物ではアプリが一番お得』とアプローチを続けており、それが奏功してダウンロード数が伸びていると考えています」(坂本氏)
アプリではポイントサービスに加え、買い物で使用できるクーポンの配布、処方箋受付など、さまざまな機能を展開。また、スタンプカード機能を提供しており、スタンプ取得のためのミッションには「あるく」という項目を用意した。
「1週間の累計歩数が4万9000歩に達した方にスタンプを配布しています。健康管理の一環で、日々歩数計の代わりにアプリを開いてくれる方もおり、そういった方は離反率も低くなっています」(坂本氏)
公式アプリの利用者は、非利用者と比較して、LTVが1.6倍、来店頻度が1.5倍になったという。
これまでは、顧客への情報発信はマスアプローチが中心だったと坂本氏。レジでレシートクーポンを配布するなどにも取り組んだが、店舗に来た人にしかアプローチができない。せっかくEZOCA会員を獲得しても、来店時以外の日常で、タッチポイントを設けることが難しかった。
その点、アプリはプッシュ通知などを活用し、日常のさまざまな場面で顧客と接点を持てる。
「アプリでは、ユーザーがどういった情報を求めているのかを把握し、パーソナライズしてアプローチができます。単純に日々のタッチポイントの量が全然変わってくるので、サツドラを想起してもらう割合は高くなりますね」(坂本氏)
アプリで仕掛けるのが未購入カテゴリーの購入拡大だ。サツドラは日用品や医薬品、化粧品、食品など、数多くの商品カテゴリーを有する。購買情報を見ながら、例えば食品を買っていない人には食品のクーポンを配布するなど、未購入カテゴリーの購入を促すメッセージを送付している。
「カテゴリーの幅を広げることで、LTVは上がっていきます。メーカー企業は特定の商品を売っていますが、サツドラはカテゴリーで売っています。『医薬品全体が10%オフ』『化粧品がポイント20倍』といったクーポンを配布し、今までとは異なるカテゴリーの商品を買っていただくための施策を強化したいですね」(マーケティング部 マーケティング担当マネジャー 白倉鉄平氏)
アプリやEZOCAで取得したデータから、サツドラの“強みとなるカテゴリー”が分かってきたという。強みのカテゴリーについて明確な言及は避けたが、取材では一例としてビューティー関連や健康食品、冷凍食品などを提示した。
他にも、ベビー用品や洗剤なども、スーパー業態と比較して「(サツドラの方が)確実に品ぞろえは多い」という。
一方、サツドラが強みとするカテゴリーを、顧客が認知していないケースも往々にしてあるという。
「例えばお客さまに『ペットの商品っていつもどこで買いますか?』と聞くと『他社さんです』と回答がありました。『なぜですか?』と続けて聞くと『(サツドラには)この商品がないからです』──と。しかし実際に店舗を見たら『あ、売ってました』となるケースって、意外とすごく多くて。そういった方に、サツドラはこんなに品ぞろえがあるのかと気付いてもらうことで、買い物行動の変化を起こせる可能性があると考えています」(坂本氏)
「もちろん、自社の強みではないカテゴリーを無理やり買ってもらっても、お客さまは『なんか品ぞろえが足りないな』となるだけなので、そういった施策は打っていません。(特定のカテゴリーが)既に強みになっているということは、認知が広がれば、今購入していないお客さまも、(一度買えば)購入し続けてくれるのではという仮説があります」(坂本氏)
他にも、来店回数が多い顧客に「いつもありがとうございます」と感謝を伝えるメッセージとクーポンを配布したり、位置情報に基づく情報発信をしたり、アプリや公式LINEなどマルチチャネルでの施策を強化している。
マルチチャネルクーポン施策ではこれまでに数十億円規模の売り上げインパクトをもたらすなど、大きな効果を出している。
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