発注から補充へ移行することは、口で言うほど簡単ではない。売れた分をその都度埋めていくと、補充の作業は時間ごと、季節ごとなどの売れ行きのムラをそのまま受けることになる。
朝は売れず、夕方に集中する。晴天と雨天でも大きく異なる。売れたものを補充しようとすれば、補充作業そのものが販売の波に合わせて増減する。補充の頻度が高まれば、現場の負担も増す。単に「売れた分を足す」だけでは回らない。流れを整えることが必要になる。
さらに、補充の判断を一つ一つ人が下していては続かない。どの商品が減ってきたか、次に何をどれだけ足すか。人の勘に頼るほど属人的になり、誤りも増え、負担も重くなる。
売れたという事実をシステムが捉え、補充のタイミングや数量を自動的に判断できるような仕組みができて初めて、発注から補充への転換が現場で回り始める。
流れを整えること、そして現場が自ら判断して動けること。これらはトヨタが長年にわたって生産現場で磨いてきた考え方でもある。定番商品を切らさない仕組みを実現するには、補充の裏側でこの2つが欠かせない。この点は、 今後の連載の中で取り上げる 。
商品の在庫が切れるのは、必ずしも店舗の怠慢ではない。「予測して発注する」という仕組みそのものが、欠品を生む要因にもなっている。
だからこそ、発注から補充へ。売れた分に反応して埋める。中国のスーパーマーケットは購買履歴を起点に、ウォルマートとP&Gは販売・在庫データを起点に、パナソニックは在庫リスクの引き取りによって、商品を切らさない仕組みを構築していた。
次回は「今日はどれにしよう」という、その日ごとに移り変わる需要に対して、新鮮な商品を届けるための考え方について紹介する。
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