なぜ、ユニクロの売り場は「買いやすさ」と「補充しやすさ」を両立できるのか 強さを支える“思想”に迫る(1/5 ページ)

» 2026年05月25日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]

著者プロフィール

佐久間俊一(さくま しゅんいち)

レノン株式会社 代表取締役 CEO

グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティング、ベイン・アンド・カンパニーなどで小売業・消費財メーカーを担当。2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。


 ユニクロの店舗を見ていると、強く感じることがあります。

 それは「売る側の都合」よりも、「顧客がどうすれば買いやすいか」が優先されていることです。売り場は、見栄えだけではなく、欠品を起こしにくく、補充しやすく、サイズや色を選びやすいよう設計されています。しかもそれを、数店舗ではなく世界規模で徹底しているのです。

出所:ゲッティイメージズ

 ユニクロを運営するファーストリテイリングは、自らを「情報製造小売業(Digital Consumer Retail Company)」と定義しています。実際の店舗を見ると、その本質はDXだけではないことが分かります。

 「顧客がストレスなく商品を選び、いつ来ても安心して買える状態」を維持するために、売り場、物流、IT、広告、商品開発までを一体で設計している。その思想こそが、現在のユニクロの強さを支えているのではないでしょうか。

売り場を見て分かる「ユニクロの強み」

 ユニクロの売り場を観察すると、商品単価によって陳列方法がかなり細かく設計されています。例えば、低価格帯のニットや限定価格商品は、入口付近で平積みしており、価格を訴求する大きなPOPとともに大量に陳列しています。来店客を引き込む「集客商品」としての役割です。

 一方で、4000円以上のジーンズや高価格帯のダウンジャケット、ブランドコラボ商品などは、マネキンやハンガーを使った“魅せる売り場”になっています。単価が高い商品は、機能性のみではなく、コーディネートやブランドイメージを含めて提案しているのです。

 興味深いのは、売り場全体で「1坪当たり在庫高」をかなり均一化している点です。売り場を計測すると、ユニクロは1坪当たり25万〜30万円前後の在庫高で構成しているケースが多く見られます。

 低価格商品は多めに積み上げ、高価格商品は数量を抑えながら演出感を強める。つまりユニクロは「大量陳列」にも、「ブランド演出」にも振り切っていません。回転率とブランド感を、商品単価ごとに細かく最適化しています。

 そしてこの売り場設計は、単なる見た目だけの話ではありません。

       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR