なぜ、ユニクロの売り場は「買いやすさ」と「補充しやすさ」を両立できるのか 強さを支える“思想”に迫る(3/5 ページ)

» 2026年05月25日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]

ユニクロと一般的なアパレル企業、「商品戦略」の違いとは?

 ユニクロは商品戦略も一般的なアパレル企業とは少し異なります。

 通常のアパレル企業は、若者向け、高感度層向け、キャリア女性向けなど、ターゲットの価値観を細かく分け、その世界観に合わせてブランドを構築していきます。しかしユニクロが解決しようとしているのは、もっと普遍的な生活課題です。

 「寒い」「暑い」「重い」「動きづらい」「洗濯しづらい」といった日常の不便を、シンプルな機能性とデザイン性で解決しています。ヒートテック、エアリズム、ウルトラライトダウンは、その象徴です。

 しかも、これらは一定の顧客層だけの商品ではありません。主婦、高齢者、ビジネスパーソン、子どもまで、幅広い層が同じ商品を購入しています。つまりユニクロは、「ターゲットを狭める」のではなく、「最大公約数を狙う」ことで巨大市場を形成しています。この「定番大量販売」ともいえる戦略が、在庫効率、生産効率、物流効率、粗利率の改善にもつながっています。

 ユニクロは限定価格施策を積極的に行う一方、常時値引き型のビジネスには陥っていません。苦戦するアパレル企業では、値引きやセールで在庫処分を繰り返すことで顧客の「セール待ち」が常態化し、定価販売率の低下、粗利率の悪化という悪循環へ陥ります。粗利率が下がると経費を削減しなくては営業利益率が確保しづらくなり、IT投資や物流投資にも及び腰になっていきます。

 しかしユニクロは「今しか売れないトレンド商品」より「長期間売れる定番商品」を大量に販売しています。そのため、在庫処分圧力が比較的小さいのです。ヒートテックやエアリズムは、単なる販促商品ではなく、生活インフラに近い存在になっています。それに加えてSNSを軸にインフルエンサーを有効に活用しながら着こなし提案をしています。

 つまり、ユニクロの広告は「安売り告知」ではなく、「人々の生活シーンで困っていることを解決することとコーディネートを楽しむ提案広告」になっています。

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