トヨタやNTT、東急が「マッチングアプリ」を福利厚生に なぜ企業が社員の恋愛を支援するのか(3/3 ページ)

» 2026年08月27日 05時30分 公開
[米倉志保ITmedia]
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なぜ企業は福利厚生として導入するのか

 Aill goenは豊嶋氏自身の経験から生まれたサービスだ。かつて企業の正社員として働いていた豊嶋氏は、社内や取引先の人とは仕事上の関係があるため恋愛につながりにくく、転勤もあり仕事が忙しい中で「共働き前提で、一緒に仕事と家庭を支え合える人と出会いたかった」と感じていた。

 「共働き・共育て」をコンセプトとしたサービスを作りたいと考えた一方、一般向けのサービスとして提供する場合、利用者が安心して出会える相手かどうかを確認するのが難しい。そこで、利用者が企業に所属していることを証明できる企業向けのサービスとして提供することにした。

Aillの豊嶋千奈社長(編集部撮影)

 企業では近年、人的資本経営やウェルビーイングの考え方が広がり、社員が働きやすい環境を整えることが重視されている。育児支援や柔軟な働き方など、仕事と家庭を両立するための制度を整える企業も増えている。

 しかし、こうした制度だけでは解決できない問題もある。例えば、本人が「管理職を目指して仕事を続けたい」と考えていても、結婚後の家事や育児の負担が一方に偏れば、仕事をセーブしたり、退職したりせざるを得なくなることもある。仕事と家庭のバランスは、本人だけでなく、パートナーの価値観や働き方にも左右されるからだ。

 企業が社員の「仕事と家庭の両立」をどれだけ支援しようとしても、パートナーとの関係までは介入できない。

 そこで、独身社員が仕事や家庭に対する価値観が近い相手と出会う選択肢とし、Aill goenを福利厚生として導入する企業が増えている。企業にとっても、家庭の事情によって社員が仕事を続けられなくなることを防げれば、人材の流出を抑え、新たな採用や育成にかかるコストの削減にもつながる。

独身者向け支援として企業で導入されている

 採用活動で、福利厚生の一つとしてAill goenを利用できることを紹介すると、求職者からも好評だという。「転勤があっても家庭と両立できるか」「結婚後も仕事を続けられるか」といった将来への不安を和らげる一つの材料になるためだ。

 「恋愛は個人の問題」ともいえる一方、どのような相手と生活を築くかは、社員がその後も働き続けられるかどうかに影響する。社員を支える手段として、企業による「恋愛支援」がどこまで広がるのか注目される。

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