こうした生ドーナツをはじめとする新たな潮流を受けつつも、もっちゅりんの原点となっているのは2003年に発売されたポン・デ・リングだろう。
ミスタードーナツは1971年に大阪府箕面市に日本1号店をオープンして以来、かつての米国中産階級の豊かなライフスタイルを発信するドーナツチェーンとして飛躍的な成長を遂げてきた。しかし上陸から30年以上が経過し、日本らしいオリジナルの商品が求められるようになってきた。ポン・デ・リングはそうしたニーズに応えた形だ。それまでも、甘さを抑えるなど日本に合わせたカスタマイズは行われていたが、アメリカンドーナツの大枠は壊していなかった。
8つの丸い団子が輪になってつながったような独特の形と食感が、ポン・デ・リングの特徴だ。ブラジルの小さくて丸い、弾力のあるチーズパン「ポン・デ・ケージョ」を参考に開発された。
ポン・デ・リングが登場する前のミスタードーナツのヒット商品は、大きく3つの食感に分かれていた。1つ目は「エンゼルクリーム」や「ハニーディップ」のようなふんわり、しっとりした食感の商品だ。2つ目は「フレンチクルーラー」のような軽くて口どけの良い商品。そして3つ目が「オールドファッション」のようなサクサクとした食感が特徴の商品である。
ポン・デ・リングが目指したのは、これまでの3つとは異なるもちもちとした食感だった。タピオカ粉を使ったポン・デ・ケージョのもちもち食感を参考に、タピオカ由来のでんぷんを使用し、それまでのドーナツにはなかった独特の食感を生み出したのである。
この独特な形と特徴的な食感が話題となり、売れすぎて材料不足に陥るほどの反響を呼んだ。翌2004年には、ミスタードーナツの商品から生まれた初のマスコットキャラクター「ポン・デ・ライオン」も誕生し、さらに人気に拍車がかかった。
ポン・デ・リングは、2023年5月末時点でシリーズ累計販売数約35億個を突破。ミスタードーナツを代表するヒット商品となっている。
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