知名度を高めて応募者を増やすだけでなく、働き続けやすい環境づくりにも取り組んできた。鋳造業界は一般的に離職率が高いとされ、キャステムでも離職率が50%を超えた時期があったという。しかし、2020〜2024年の新卒採用者の平均定着率は81.2%まで向上した。
その取り組みの一つが、福利厚生の充実だ。2018年に社員食堂をリニューアル。1食250円でおかわり自由とし、1日1メニューと、それが苦手なメニューだった場合のために食べ放題のカレーを用意している。また、月に1回「チャレンジメニュー」として、ローストビーフ丼やうなぎ丼などの豪華なメニューをおかわり自由で提供している。
調理担当の社員を雇っており、毎日200食分のランチを前後半に分けて準備。外部に委託するのではなく社内で運営することで、コストを抑えているという。
リニューアル前の食堂は現在より狭くて薄暗く、従業員はテレビを見ながら注文した弁当を黙々と食べているような雰囲気だった。しかし現在は、カフェテリアのような明るい雰囲気に改装。従業員同士の会話につながるよう、テレビは置いていない。座る場所が固定してしまわないよう、定期的にテーブルの配置も変更している。
結婚や出産後も働き続けられる環境を整えるため、2022年には社内に託児所を開設。保育士は社員として雇い、1日700円の自己負担で、生後半年〜2歳児の子どもを預けられるようにした。預け先と勤務先が同じため送迎の時短になるほか、昼ごはんは社員食堂で子どもと一緒に食べられる。
製造業では比較的男性社員が多いが、キャステムでは新卒社員の約4割が女性だ。新規事業の立ち上げなどを通じて女性が活躍できる職種も増え、現在は女性が社員の約35%を占める。
社内の部活動にも力を入れている。特に人気なのが、社員が就業時間外に自分の好きなものづくりに取り組める部活動「TTクラブ」だ。約30人の社員が参加しており、自社で保有している精密部品製造に使う工作機械や3Dプリンタ、工具を自由に使える。
簡単なものでは、3Dプリンタでペン立てやスマホケースなどを作ることができる。TTクラブの活動を知ったことをきっかけに入社する社員もいるという。
2025年7月に開催された、小型の四輪駆動車模型であるミニ四駆の速さや技術を競う「製造業対抗ミニ四駆大会 ワールドカップ in 大阪・関西万博」では、TTクラブが所属する社員が制作したミニ四駆が「パフォーマンス賞」を受賞した。こうした大会に出場する際の旅費は、キャステムがサポートしている。
戸田氏は「技術を自分の好きなものづくりを通じて高められるし、キャステムにいるからそういったことができるということで、社員の定着にも寄与していると思います。失敗をとがめるのではなく、トライしていることを褒める風土でありたいです」と話した。
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