日立が「木造データセンター」展開 “鉄とコンクリ”から木材へ、“見た目がオシャレ”以外の価値は?

» 2026年10月14日 17時45分 公開
[荒岡瑛一郎,ITmedia]

 日立製作所は10月14日、木造データセンターの販売を始めた。同社が取り扱う小型データセンター「フレキシブルデザインコンテナ」の新モデルで、低コストかつ短時間で構築できる。柱などに木材を使うことで「周辺の景観に配慮する」「木材が成長する過程で二酸化炭素を吸収する」といったメリットがある。

 データセンターを巡っては、AIやクラウドサービスの利用増加によって需要が拡大している一方で、課題も顕在化している。特に、大規模なデータセンターは「建設に時間がかかる」「電力や通信インフラの確保が必要」「立地が限られる」「周辺住民の理解を得る」などの壁に直面している。

 こうした課題を「フレキシブルデザインコンテナ(木造型)」で解決できるという。建築材料を木材に変えることで、どのような効果が生まれるのか。

photo フレキシブルデザインコンテナ(木造型)のイメージ(出所:日立製作所のプレスリリース)

低コストかつ短期で導入できるコンテナ型データセンター

 フレキシブルデザインコンテナは、日立製作所が2012年から販売している小型データセンターだ。貨物輸送に使うコンテナに近いサイズで可搬性に優れたタイプや、データセンターの規模を柔軟に調整できるフレキシブルタイプなどのラインアップをそろえている。

 IT機器を搭載するラックや空調機器などの稼働効率を最大化する設計で、データセンターの構成要素をモジュール化しているため低コストかつ短期間で導入できる。

 「コンテナ型データセンターは、建屋型のデータセンターと比べて短期間で建設でき、需要に応じて段階的に設備を拡張できる」(日立製作所)といい、小型なため工場の空き地などにも設置可能で、大規模な電源の確保も不要だ。公共分野などで約50件の導入実績がある。

photo フレキシブルデザインコンテナのラインアップ(出所:日立製作所「コンテナ型データセンタ」)

木造データセンター、“見た目がオシャレ”以外の価値は?

 フレキシブルデザインコンテナ(木造型)は、柱や梁(はり)などの主要構造部に木材を利用している。木材は、鉄骨やコンクリートよりも軽くて扱いやすいため、輸送や施工現場での加工が容易になる。柱や壁面パネルを工場で加工して現場で組み立てる「プレファブ工法」とも相性が良く、現場作業の効率化も期待できるという。

 樹木は、成長する過程で二酸化炭素を吸収して内部にため込む「炭素固定」の効果がある。この効果に加え、鉄骨やコンクリートの使用量を減らすことで、二酸化炭素の排出抑制につながる。日立製作所の試算では、データセンターの規模によっては約20トンの二酸化炭素排出抑制や炭素固定効果が得られるという。

 外壁にも木材を使い、設置場所の緑化などと合わせることで、町の景観に調和した外観にできる。「人々の生活圏に近い場所においても、周辺環境や地域特性に配慮したデータセンターを整備でき、地域社会との合意形成や社会受容性の向上につなげます」(日立製作所)

木造でも耐震性、耐久性に自信

 主要構造部に木材を用いつつ、データセンターに求められる堅牢(けんろう)性を確保している。大地震の後も補修せずに建物を使える最高レベルの耐震安全性「I類」に対応可能。外装に防腐処理などを施すことで、30年以上の使用に耐えられるという。

 セキュリティ面では、ガス消火設備、侵入対策、電気錠やカメラによる入退室管理に対応している。

 日立製作所は、顧客の個別要件や設置する地域の特性を踏まえたデータセンターを提供し、フレキシブルデザインコンテナの導入を後押ししたい考えだ。電力やITインフラや冷却設備などを統合管理できる同社のデータセンター運用サービス「HMAX Data Center」と組み合わせることも想定している。

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