ここまで低価格を維持できた背景について、中井氏は「サプライチェーン全体を自社で構築している」点を挙げる。サイゼリヤは店舗での作業をできるだけ減らす仕組みを整えてきた。食材は事前に加工し、店舗では複雑な調理をしなくても一定の品質で料理を提供できるようにしている。
「サプライチェーン全体が効率化された1つの工場のようになっていて、人が個別にやる作業は全て排除し、究極のチェーンストアとして完成されている」(中井氏)
こうした仕組みは、人件費や調理にかかる時間の削減につながる。料理を短時間で提供できれば、回転率も高めやすい。
席数の確保にも取り組んでいる。来店客が多く、行列による機会損失が生じている場所では、追加出店によって受け入れられる客数を増やす。客単価は抑えつつ、席数を増やし、回転率も高める。こうした取り組みを組み合わせることで、低価格でも収益を確保できる仕組みを築いてきた。
手頃な価格で食事を楽しめるため、来店客が料理をもう1品追加したり、複数人でシェアするメニューを注文したりすることも、売り上げの底上げにつながっている。
実際、サイゼリヤは価格を据え置いてきた一方、客単価は上昇している。決算資料によると、客単価は2022年の770円から、2026年には882円となった。
営業時間の延長によって、機会損失の解消も進めている。コロナ直後は原則午後10時閉店としていた運用を2023年頃から順次見直しており、首都圏では午後11時以降も営業している店舗が多い。午後10時以降は食事代に対して10%の深夜料金を設定している。
朝の需要も取り込んでいる。午前10時までの限定で手頃なモーニングメニューを提供する「朝サイゼ」は、8月時点で首都圏を中心に23店舗に広がった。店舗によって異なるが、早い店では午前7時から営業している。
中井氏は「サイゼリヤの成長余力はかなり大きい。特に深夜はコロナ前と比べて、早くに閉める外食店が増えた。ここで営業できると、相当差別化になる」と期待を寄せた。
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