Lセグメント 環境時代のフラッグシップ:池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/4 ページ)
Lセグメントにコストパフォーマンスという言葉は似合わない。そのブランドが信じる「最高のクルマ」を具現化することが目的となるからだ。
各メーカーの信じる理想のクルマ
その点、Lセグメントは明快だ。主要顧客は上述した富の二極分化の勝ち組なのだ。動力性能でも運動性能でも、居住性でも、スタイリングでも、エコ性能でも、全てに最高のものを用意すればいい。もちろんそうした性能の多くは純粋にエンジニアリング面から見れば「あちらを立てればこちらが立たず」というトレードオフ関係にあるのだが、それらを高次元でバランスさせるために、設計におけるパラメーターの割り振りで「コスト」にしわ寄せのし放題という自由がある。
このクラスに限って言えば、「コストパフォーマンス」という言葉があまり支配的ではない。低価格を求めるなら何もLセグメントを買う意味はないからだ。商品力の絶対性が高いことが望まれ、それが同等であって初めて価格の話になる。そういう特殊なマーケット環境の中で戦うからこそ、Lセグメントはメーカーの威信をかけたモデルになる。究極のところ、そのブランドが信じる「最高のクルマ」を具現化することが目的となるのである。
Lセグメントには各メーカーのフラッグシップがずらりと並ぶ。基本となるのはレクサスLS、ベンツSクラス、BMW7シリーズ、アウディA8、ジャガーXJ、マセラティ・クアトロポルテ、キャデラックXTSあたりだろう。無差別級なのでその上には限られたオーナー向けのロールスロイスや、立ち位置が微妙になりつつもこれに追従するマイバッハなど、特殊な高級サルーンも存在する。Eセグあたりと違って元々が数をさばくモデルではないので、マイナーモデルを足切りする意味があまりない。
Lセグメントは他のセグメントにも増して、ブランド性が支配する要素が強い。上述したように各ブランドが信じる「最高のクルマ」を具現化した結果、それぞれにキャラクターの違いがはっきりしている。
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