まだまだ未熟な経営者が、大切にしてきた7つのこと:経沢香保子の「ベンチャー魂は消えない」(2/7 ページ)
20代半ばで独立してから今日まで、とにかく必死に走り続けてきた約16年間だった。経営者としてさまざまなことを経験し、そして多くを学んできた。今回はそこで得たことをいくつかお伝えしたい。
(2)誰もやってないことに楽しみながら挑戦する
「絶対正解というのはないから、誰かの役に立つことをやる」
「人生は壮大な実験だから、人がやってないことに取り組む」
そのように考えて生きてきた。だから、起業家として、経営者として、どんな事業やサービスをやるかと考えるとき、私はいつも3つのことを意識した。
- 社会を進化させることをやる
- 誰もやってないことをやる
- 自分の強みを発揮することをやる
なぜ前職でF1層のマーケティングを中心に事業を展開したのか。
2000年ごろから女性の社会進出や女性パワーに注目が集まっていたが、世の社長の9割以上が男性だった。商品やサービスを作る決定権を持っているのは男性だけど、消費の中心は女性であるという、ギャップを「女性の意見を男性に届けるマーケティング」で埋めることができたら、女性パワーで経済を活性化できるのではないかと考えたわけである。
女性向けビジネスといえば、化粧品やアパレルが中心だったので、「女性マーケティング」「女性の口コミ」という市場を作ってみたかったという思いもあった。また、自分自身が「女性」であることも強みだったので、商品開発においても、自分の視点や自分がやってみたいことを楽しんで次々に取り組むことができたのだと思う。
現在やっている、オンラインベビーシッターサービス「キッズライン」も、第3回の連載記事に書いたように、自分の原体験に基づいている。私が一番のユーザー視点に立てるし、育児に困っている人たちに絶対に使ってほしいと思うサービスなのだ。
日本にシェアリングエコノミー型でベビーシッターが広まるかどうか、日本にもベビーシッターが文化になる日が来るかどうかなんて誰にも分からない。でも、間違いなく誰かの役に立つ仕事だという確信と、社会を進化させるインフラにしたい、それがたとえ実験としてでも取り組む価値のある事業だと私は信じている。
どんなに時間がかかっても、花開かせたい、どんなに困難があったとしても乗り越えて多くの人の生活の助けになりたいという思いと、自分が体験したことだから、あんな工夫もしたい、こんな工夫もできると、毎日サービスを進化させることを楽しんでいる。
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