「女性が輝く社会」実現に向けて、私が使命感を持つ理由:経沢香保子の「ベンチャー魂は消えない」(3/5 ページ)
「女性がもっと活躍できる世の中を作りたい」。この思いを胸にずっと走り続けてきた。度重なる人生の困難も乗り越えてきた。なぜならば、私がやらなくてはならないという使命感があるからだ。
女性が活躍する社会にはなったが……
終身雇用システムの崩壊とともに時代は変わった。すなわち「保証」のない時代に突入したのだ。もちろん、それに伴って「自由」も「権利」も増えたと思う。転職の自由、結婚、離婚の自由、性別を超えた概念――。「ダイバーシティ」という考え方が叫ばれているように、以前より多くの価値観が認められるようになった。ただ、逆に全ての問題が「個々人の問題」になってしまっている弊害もあるのではと感じている。
例えば、「女性と仕事」の問題。男性と女性に能力の違いはない。それは多くの企業でも認められつつある事実だ。そしてありがたいことに政府も女性の活躍を推進するスタンスだ。でも、妊娠、出産だけは別問題だ。ここは決して男性に代わってはもらえない。
さらには、出産後の「育児と仕事の両立」も、まだまだ女性の個々の努力に帰属している部分が大きい気がする。だからこそ「両立できない自分がダメなんじゃないか」「自分が力不足だからどちらも中途半端なのでは」。そのように自分を責めてしまう女性は多い。
「母親の仕事だから、ちゃんとやって当然」「昔の母はしっかり全うしていた」と、時代が変わっても固定観念だけは引き継がれてしまい、女性リーダーが少なければ、声を上げる人も少ない。だから仕組みも変わらない。そうすると、未来がある真面目な女性たちはなおさら弱音も吐けないというマイナスのスパイラルなのが現状ではないか。
育児で疲れ、仕事で疲れてしまっては、創造性のある社会にはならない。肩の力を抜いて笑顔になれる仕組みが必要だ。子育ては24時間だからこそ、子育てを楽しみながら、自分の道も大切にしながら、そして、深くてしっかりした愛情を子どもに注げる社会整備が必要だ。それこそが“一億総活躍”につながるはずだ。
そうした社会のひずみがある今、もし私の経験を生かして、多くの人たちを救うことができるのであれば、そこに全力を注ぎたい。
特に育児問題の解決は、私自身が強い実体験があるからこそ、しっかり解決していきたい、いや、やらなくてはならないという強い気概を持って日々臨んでいる。
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