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漫画が売れたら終わりではない 敏腕編集者・佐渡島氏が描く『宇宙兄弟』の次「全力疾走」という病(4/5 ページ)

講談社時代、漫画『ドラゴン桜』や『宇宙兄弟』など数々のヒットを飛ばした編集者、佐渡島庸平氏。大手出版社勤務というキャリアを捨てて彼が選んだのは、作家エージェントとしての起業だった。彼を駆り立てるものは一体何だったのだろうか――。

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 では、顧客へのラスト1マイルを誰が持つべきか。佐渡島は作家が直接持つことが、作家が長く活躍することにつながるはずだと考えた。作家が執筆活動を続けるための支えとなるのは、読者であるファンだからだ。インターネット時代であれば、作家とファンとの交流は容易で、これまでにない新しいサービスを始めることもできる。

 作家から直接漫画を購入できる「マグネット」というサイトは、佐渡島が始めたインターネットサービスの1つだ。もう1つ、作家とファンとをつなぐ手段として、佐渡島はメールマガジンの制作にも力を入れている。古典的なメディアとも言えるメルマガになぜ今注目しているのか。

 「いろいろな人と会話のやり取りがあるSNSは、公共の場だといえます。対してメルマガは、相手のプライベート空間に届けられるものなので、読む人がまるで家の中で作家と話しているような気分になれます。メルマガという手法が新しいか古いかというかということは関係ありません。印刷物の本は、形態に関してはグーテンベルクの発明以来、大きな進化がないままずっと残っています。それは書かれている内容によって価値が決まるからです。メルマガも中身次第。印刷物は、聖書という最強のコンテンツがいきなり登場したために今も高い地位にありますが、メルマガは当初、チープなコンテンツが載っていたために、本来持つパワーが発揮できていないにすぎません」

 コルクでは週に1回、小山宙哉や安野モヨコのメルマガを発行している。文章の質は漫画におよばずとも、親近感があるためか読者からの反響は大きいという。

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