連載
国内住宅の40%が空き家になる? それでも「空き家ビジネス」が難しい理由:消費トレンドから見る企業戦略の読み解き方(8/10 ページ)
“民泊”を筆頭に盛り上がりを見せつつある「空き家ビジネス」。今後数十年で多くの国内住宅が空き家になると見込まれる一方、日本ならではの課題もある。そのポイントを分析してみたい。
まず考えられるのは、個々の事業者が空き家情報を“独占”する形での仲介ビジネスを脱し、市場にプラットフォームの思想を取り入れることだ。
空き家を扱う不動産仲介業者はこれまで物件情報を独占し、それを武器に売り手・買い手の双方から手数料を取って成り立ってきた。しかし、それは売り手と買い手にとって利便性の低下やコスト増大を招く。取り引き意欲が減退しがちな空き家ビジネスでは、その弊害はとりわけ大きい。
これを防ぐためにも、売り手・買い手の利便性を優先する「空き家取り引きプラットフォーム」が必要だ。その仕組みは、例えば以下のようなものだ。
- 仲介業者が異なる場合でも、全ての空き家物件を買い手が比較できる
- 全ての仲介業界で項目が統一された検査情報や、住宅メンテナンス情報を基に物件を比較できる
これと並行して、空き家の売り手をサポートする仕組みづくりも求められる。売り手にとっては、空き家の処分前から処分時、処分後まで、解決すべきことが山積みだからだ。
関連記事
- アディダスを抜いた? なぜ新参者の「アンダーアーマー」が老舗をおびやかすのか
ナイキやアディダスといった有名スポーツ用品ブランドの牙城を崩そうとしているのが、創業わずか19年のアンダーアーマーだ。急成長の理由を3つのポイントで分析してみたい。 - “ロボット大国”日本は、なぜ「手術支援ロボット」市場で勝てないのか
ロボット大国とも言われる日本だが、明らかに米国企業の独占を許してしまっているのが「手術支援ロボット市場」だ。2けた成長中の有望市場にもかかわらず、なぜ日本のメーカーは存在感を示せないのか。そのカギは日本人特有の“ある性質”にあるかもしれない。 - なぜ今“昭和型”コーヒーチェーンが増えているのか
コンビニコーヒーなどに押されて苦戦を強いられてきた「喫茶店市場」。しかし、ここ数年でV字回復の兆しを見せているのをご存じだろうか。そのけん引役になっているのは、西海岸風のオシャレな1杯……ではなく、日本の昔ながらの“昭和型”喫茶店だ。 - 嵐とEXILEのライブでホテル不足……「民泊」で解消狙う 福岡市が試行
福岡市は、市民に自宅を宿泊施設として提供してもらう「民泊」に試行的に取り組む。 - オーナーが同居しない空き部屋シェアリングは規制強化せよ
「シェアリング・エコノミー」の代表例は配車サービスのUberと、空き部屋シェアサービスのAirbnbであるが、注目を集めると共に論議を呼んできた。今回は、Airbnbのコミュニティーにとってのセキュリティの観点から考えてみよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.