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新型パッソ/ブーンで見えたダイハツの実力池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/6 ページ)

ダイハツの新型パッソ/ブーンに試乗して実感したのは、同社の高い見識と技術力だ。そしてもう1つは、ダイハツを完全子会社化したトヨタの戦略眼の確かさである。

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 マイヴィは、一時期はマレーシアの新車販売のシェアの半分を埋め尽くしたというアジアのスーパースターである。ダイハツはマレーシア最大の自動車メーカー・プロドゥア社の大株主であり、先代のパッソ/ブーンをベースとするマイヴィはその稼ぎ頭として君臨するモデルだった。だった、と書いたのは2014年にマレーシア政府が推進するエコカー政策に合致させた新しい国民車として「プロドゥア・アジア」をリリースし爆発的にヒットさせているからだ。

 ASEANは経済単位として1つなので、マレーシア生産のマイヴィはASEAN国産車として域内全域で有利に販売展開できる。これから先の20年、自動車メーカーの主戦場は明らかにアジアだ。中国、インド、ASEANのエリア合計の伸び代で見れば5000万台規模のポテンシャルがある。世界の新車販売のパイが1.5倍に増えることになる。それはとりもなおさず、次世代自動車メーカー王者決定戦の主戦場ということを意味し、マイヴィは、その戦いのエース候補の一台なのだ。

 候補、と書いたのはお気付きの通り、エースの座を争うライバルとして上述の「アジア」が念頭にある。そして、その役割の重大性に鑑みれば、全くのブランニュー設計でアジア戦略車を設計することも十分に考えられるからだ。

 そのような大きな構図を頭に入れると、パッソ/ブーンを「あんな安グルマ」などとは言えなくなる。日本と世界の自動車産業に巨大なインパクトを与える可能性があり、成功した暁には、アジアの国民車として、アジアの人々の健康で豊かな暮らしを支える基盤と成り得るクルマなのである。

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