大半の社員から反感を買ったチーム研修、それでも続けてきた理由:「よなよなエール」流 ガチンコ経営(4/5 ページ)
ヤッホーブルーイングの社長に着任してから真っ先に取り組んだこと。それが社内の改革でした。チームビルディング研修を持ち込み社員の意識変革に挑みましたが、その道のりは決して楽なものではありませんでした。
TBP卒業生が現場で活躍
誰も経験したことのない3カ月が過ぎ、TBPもついに最終日を迎えました。TBPメンバー7人はこの3カ月間で取り組んださまざまな課題をクリアし、達成感で自信に満ち溢れています。そんなメンバーの姿を見て、いよいよ研修が終了しようとする直前、私は今まで我慢していた思いを抑えることができず、涙が溢れて止まらなくなりました。
こんなに大変な研修を、しかもこの研修の先に明るい未来があるかどうかも分からない中、よくぞ皆頑張ってくれた。メンバーの7人は、そんな私の深い思いを知る由もなく、涙ぐむ私を神妙な顔で見守ってくれていました。
TBP終了後、スタッフは仕事現場に戻り、研修で学んだことをすぐに実践し出しました。例えば、コミュニケーションの大切さを理解しているので、何気ない些細な会話や雑談でも積極的に行うようになり、周りのスタッフとの心の距離を縮めるようになりました。また相互理解の大切さも理解しているので、「この人はこういう時に○○な行動をするから」などの予測がつくようになり、サポートがうまくできるようになってきました。各スタッフの強みを活かすような役割を与えたり、逆に弱みとしているところはそれが得意なスタッフがフォローしたりと、チームとしての基本行動もとれるようになりました。
すると、TBP卒業生が所属するチームや、彼らが参加するチーム横断的なプロジェクトなどでは、明らかに今までより素晴らしい成果が出始めましたし、活気も出てきて職場の雰囲気が明るくなってきたのです。そして、翌年のTBP第二期にも7人のスタッフが参加してくれることになりました。第一期生の変化や成果を見て興味を持ったとのことでした。まだTBPの活動に否定的なスタッフも多くいましたが、第二期も何とか終了し、卒業生は現場にその学びを持ち込み、組織改革に取り組んでくれたのです。それによりいっそう会社の状態は良くなってきました。
関連記事
- 地ビールブームから一転、8年連続赤字で“地獄”を見たヤッホーブルーイング
現在、11年連続で増収増益、直近4年間の売り上げの伸びは前年比30〜40%増と、国内クラフトビール業界でダントツ1位に立つヤッホーブルーイング。しかしここまではいばらの道だった……。井手直行社長が自身の言葉で苦闘の日々を語る。 - クレームから生まれたある女性ファンとの絆
地ビールブームが去り、売り上げが激減したヤッホーブルーイングにとって、再び事業を立て直すきっかけとなったのがネットの通信販売でした。今回は、販促のためのメルマガを巡り、顧客との間に起きた“大事件”を紹介します。 - 社員以上の愛社精神を持つ、ヤッホーファンが流した涙のわけ
私たちヤッホーブルーイングでは「よなよなエール」などを愛飲してくれるお客さんのことをファンと呼んでいます。今回は熱心なファンの一人、ゆみえさんとの間に生まれたあるエピソードをお届けします。 - 社員にプロジェクトを押しつけていた失敗から学んだこと
ヤッホーブルーイングはファンに対してだけでなく社員同士でもガチンコで物事に取り組んでいます。プロジェクトチーム作りもかつては悪戦苦闘の連続でした……。 - 最初はまったく売れなかった明太子、どうやって福岡から全国区に?
日本で最初の明太子メーカーが、福岡市中洲に本社のあるふくやだ。創業すぐに明太子の販売を始めたが、実に10年間も鳴かず飛ばずだったという。そこからいかにして明太子は福岡の名産品にまで育ったのだろうか。 - 激戦ラーメン市場、それでも「一風堂」が選ばれ続ける理由
31年前に福岡で創業したラーメンチェーン「一風堂」の成長が止まらない。国内外で出店攻勢をかけているのだ。1年間で約3600ものラーメン屋が閉店に追い込まれる激戦市場において、なぜ一風堂は顧客に選ばれ続けているのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.