相次ぐ自動車メーカーとIT企業の提携 両者の狙いとは?(3/4 ページ)
ITなど異業種から参入した新たなプレイヤーと、それを迎え撃つ自動車メーカー。本特集では、道路という古くて新しいネットワークを舞台に始まった次世代の競争を追う――。
自動車業界の主導権はIT企業に?
他にも、IT企業の参入に関して注目したいのは、車両を販売せず、タクシーやシェアでの展開を考える企業が多いことだ。
自動車を販売するには、販売店や整備施設をきめ細かく整備しなければならない。これには多大な費用が必要となる。しかしシェアやタクシーなら販売店は不要で、整備施設も集中化が図れる。ものづくりの経験が少ないIT企業にとって、リスクははるかに少なくなるのだ。
ちなみに自動運転が実用化されると、タクシーとカーシェア、ライドシェアはほぼ同一のものとなる。世界各地でタクシードライバーがUberの進出に反対しているが、自動運転になればドライバーがいなくなるわけで、この騒動は終結するだろう。
ロボットタクシーは、自動運転タクシーの運行を目標としている。ソフトバンクが先進モビリティとともに設立したSBドライブも、「安全で安価で自由なドライブを実現したい」というメッセージを掲げており、自動運転とシェアの組み合わせが連想できる。
また欧州では06年から、EUが研究開発資金の一部を援助するプログラム「CityMobil」がスタートしており、現在は欧州内の企業・自治体・大学など45団体が共同でプロジェクトを進めている。彼らも車両を販売するつもりはなく、タクシーやバス、シェアとしての活用を目指しているという。
ディー・エヌ・エー、ソフトバンク、Uberなど、多くのIT企業の最終目標が似ていることに気付くだろう。Googleが開発した「Google Self-Driving Car」も、全長が短い車体で都市内でのシェア提供に向いているし、Appleも滴滴出行と組んでこの分野に乗り出すかもしれない。
クルマを売ることにかけては、自動車メーカーは豊富な経験を持つ。しかし、シェアでは、運営を司る企業がシェアに適した車両を選ぶことになる。IT企業がシェアのプラットフォームを構築し、自動車メーカーがそれに合わせた車両を生産するという構図は、スマートフォンのOSと端末の関係を思わせる。だから脅威を感じているのだ。
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