トヨタVS. Google 自動運転の主導権を握るのは?(2/3 ページ)
トヨタ自動車の敵は、もはや自動車メーカーではなくIT企業などの異業種である。そして、その最大の敵はやはりGoogleだろう。本稿ではGoogleとトヨタに焦点を当て、自動運転における両社の動きを解説する。
Googleが目指す自動運転車とは
トヨタは今年5月、スマートフォンを使った配車サービス、ライドシェア最大手のUberと提携し、グループ会社から出資を行うと発表した。
協業の内容は、ライドシェア用車両のリース。ただ、同年1月に米国の自動車メーカー、ゼネラルモーターズ(GM)が、“自動運転ライドシェア”を最終目標としてUberのライバルであるLyftと資本提携したように、トヨタが同様の考えを持っていることも十分に考えられる。
一方のGoogleには、Google Mapsの地図データがあった。さらに近年は、ロボットベンチャーのSchaft(シャフト)や、米国のBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)など、ロボット研究開発企業の買収を進めてきており、この2つの技術を組み合わせれば自動運転ができると考え、自動車業界に参入したようだ。
当初は既存の自動車を使い、同社が開発した自動運転用機器を搭載して研究開発を行っていた。トヨタのプリウスやレクサスRXなどが多く用いられたが、これらはGoogleが独自に購入したものであり、トヨタが提供したものではない。
続いてGoogleは2014年5月、独自開発の自動運転車、Google Self-Driving Carを公開した。卵型の車体は既存の自動車と比べると全長が極端に短く、車体の上(ルーフ上)に自動運転用のセンサーが装着されていた。2人乗りの車内にはステアリングやペダルはない。つまり手動と自動の切り替えは想定していない。
このGoogle Self-Driving Carは、翌年にはデザインを洗練させた改良版も公開されている。公開の場としてモーターショーではなくYouTubeを選んだのは同社らしい手法だが、そこでは目の不自由な人やお年寄り、子供など、既存のクルマを運転できない人たちの登場が多いことに気が付く。
「既存の自動車利用者の都市間移動」が前提のトヨタに対して、Googleは「移動困難者や交通弱者を含めた都市生活者の移動」に主眼に置いているのだ。
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