星野リゾートの青森エリアが挑む「冬」との戦い(3/5 ページ)
いよいよ東京のど真ん中に「星のや」をオープンする星野リゾート。これまでさまざまなホテルや旅館を再生してきた同社は、現在国内外で35施設を運営する。今回はそのうち3施設を展開する青森県での取り組みを追った。
冬でも「夏祭り」
3施設の中で、具体的な施策の効果が見え始めているのが青森屋である。青森屋では、青森の夏祭りを1年間通じて楽しめる仕掛けを用意。冬には温泉の目の前にある池にねぶたを浮かべて、祭りを体感できるようにしている。3年ほど前から始めた企画が、今では冬の風物詩になった。
ところで、なぜ夏祭りなのか。青森には「青森ねぶた祭」(青森市)、「弘前ねぷたまつり」(弘前市)、「八戸三社大祭」(八戸市)、「五所川原立佞武多」(五所川原市)という四大祭りがあり、これらはすべて8月第一週に行われる。実はこの時期の観光客数が1年間を通じてピークで、2015年は計679万8000人を動員した。年間観光客数の5分の1が集まる計算だ。実際に観賞した観光客は「また来たい」と思わせるような魅力あるコンテンツ力があるという。
青森屋内にあるショーレストラン「みちのく祭りや」では、料理を食べながら毎晩青森の四大祭りを体験できるコンセプトが人気を博している。「1年中、青森の夏の魅力を伝えることができることで、ファンは着実に増えていてリピーターも多いです」と渡部賢総支配人は力を込める。
温泉旅館である界 津軽でも今年1〜2月、みちのく五大雪まつりの1つである「弘前城灯籠まつり」にちなみ、同施設に特製の雪灯ろうを設け、利用者に青森の文化を感じさせる取り組みを実施した。
そのほか、「津軽こぎん刺し」という伝統工芸を部屋の障子などにあしらったり、ロビーで津軽三味線や津軽笛の生演奏ライブを開いたりする。客層は50〜60代の夫婦が中心で、ゆっくりと館内で過ごす客がほとんどであるため、外に出ずとも津軽の文化体験を提供することで、顧客満足度を高めようと考えている。
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