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業績回復に導いた、オリオンビールの徹底したブランド戦略とは?:海外にも販路拡大(3/3 ページ)
今年に入って初の海外拠点を設立するなど、今では沖縄以外でも手軽に飲めるようになったオリオンビール。売り上げを伸ばし続ける裏側には徹底的なブランド戦略があった。
沖縄ブランドのエッジを立てる
1972年、沖縄の本土復帰はオリオンビールの事業にも影響をもたらした。復帰前は市場シェアがピーク時に約9割あったが、復帰後にはそれまで関税という壁があった本土の大手ビールメーカーが攻勢を強めてきたことにより、一時期は苦戦を強いられたという。
そこで原点回帰に努め、地元沖縄のビールというブランドを改めて強く打ち出した。それに基づくマーケティング活動に専念することで、再び売り上げは右肩上がりに回復した。それが現在までも脈々と続いている。
「消費者のニーズが多様化し、今ではビール類も多品種になっている。オリオンビールは本土の大手メーカーのように工場がいくつもあって、数多くの商品を出せるわけではない。そこでブランドとして生き残れるような商品を作ることに注力している」(同)
オリオンビールの味、ブランドイメージ、世界観などすべては沖縄にひもづくよう、商品開発のこだわりは強いという。また広告やテレビCMなども基本的には沖縄出身のアーティストやタレントを起用する。これは決して他社に真似できるものではなく、独自のアイデンティティだとする。
現在、国内ビール市場においてオリオンビールは大手ビールメーカー5社の中で最下位、シェアは0.9%とわずかだ。しかし、同社の徹底したブランド戦略が市場シェアの数字以上に強烈な存在感を放っていることは間違いない。
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