上野動物園“正門の光景”が変わる 「桜木亭」と「上野こども遊園地」営業終了のワケ
上野動物園の正門の光景としておなじみだった「桜木亭」と「上野こども遊園地」が相次いで営業を終了した。その背景にあるのは「上野恩賜公園再生基本計画」。東京都の担当者に経緯を聞いた。
上野動物園の正門の光景が、大きく変わろうとしている――。「パンダ焼き」を販売していた「桜木亭(パンダ支店)」が6月末に営業終了、そして「上野こども遊園地」が8月末に70年間の歴史に幕を下ろした。動物園正門の“おなじみの光景”だっただけに、桜木亭や上野こども遊園地のファンは惜しむ声をあげている。
営業終了の理由は、平成21年に策定された「上野恩賜公園再生基本計画」。この計画は、「上野公園に蓄積された豊富な資源を活かし、文化・芸術、歴史、水とみどりを体感できる、さらなる魅力に溢れた『文化の森』として再生」することを理念に掲げたものだ。上野公園を6つのエリアに分け、各エリアの整備を順次進めていた。
上野動物園周辺に関しては、「恩賜上野動物園の魅力を高める正門前広場の創出」が計画されていた。計画平面図では、正門周辺の桜木亭や上野こども遊園地がある場所にあたる地点が、広場になっていることが分かる。
営業終了に際して、桜木亭は「この度、東京都公園整備事業により公園を出ることとなり6月末日をもって閉店いたします」、上野こども遊園地は「閉園のお知らせ」で、「この度、地主である東京都から『動物園の魅力を高めることを目的とした正門前広場の整備工事』の支障となると許可を取り消されましたので、やむを得ず8月31日(水)をもちまして廃業いたしました」と知らせている。
立ち退きの通達は、どのように行われたのか――。東京都建設局公園緑地部適正化推進担当課の担当者によると、正門前広場エリアの計画は21年からほぼ方針が定まっており、策定後は各店舗や事業者に個別に立ち退きについての相談・話し合いを行っていたのだという。
「それぞれの運営者にさまざまな事情があるので、話し合いがまとまった段階で閉鎖となっている。皆さまにご理解を得ていただいていると思っています」(担当者)
上野動物園正門前広場エリアでは、上野こども遊園地が最後の立ち退き者となる。また、建設局公園緑地部計画課の担当者によると、整備計画のうち「上野動物園の正門前」と「JR上野駅公園口周辺」の整備が残っているが、東京オリンピックが開催される2020年までには完了する予定だという。
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