『こち亀』の舞台になった「亀有駅」は、どんな特徴があるのか:新連載・○○駅の拠点力(亀有編)(3/4 ページ)
1976年から連載を開始し、9月に連載を終えた『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(週刊少年ジャンプで連載)。ところで、その舞台となった亀有という駅、そして街は、どんなところなのか。現地に足を運んでみた。
ワンパターンの街、亀有
そういう意味では、亀有はワンパターンの街である。会社に出かけ、帰り、買い物し、帰る。そんな繰り返しの日常を送るには、不便ではない。
『こち亀』最終巻200巻を読んでいると、1回完結で、話にオチがつくものばかりである。連載初期のころから“両津勘吉は最後に失敗する”という定番のオチが多い。
そんな亀有と、『こち亀』は、街と作品の性格がリンクしていると考えてもいいだろう。
亀有駅から少し歩くと、「アリオ亀有」というイトーヨーカドーを中核としたセブン&アイ・ホールディングス系列の複合商業施設がある。
こういった郊外型のショッピングモールは、地元で暮らす、それもクルマ社会の中で暮らす人がよく利用している。店内にはユニクロもロフトも、タワーレコードもある。便利であることには間違いない。その地で暮らす人にとっては、これほどありがたい商業施設もない。
映画館も備えられたこの施設は広く、地方にあるようなショッピングモールそのものである。低層の建築物で、中には吹き抜けがあり、巨大なフードコートもある。フードコートでのんびりしていると、まるで故郷に帰ったかのような心境になってくる。
しかし、である。そうした空間の中で、「このままでいいのか」といった焦りを感じる人もいるかもしれない。「地方から上京してバリバリ働いて、給与をたくさんもらって、高層マンションに住んで……」といった夢を描いていた人にとっては、ここは1人でいたくない場所なのかもしれない。なぜ、1人でいたくないのか。フードコートなどで食事をとろうとしても、席に座っているのは幸せそうな家族がたくさんいる。そうした人がたくさんいる中での食事は、孤独を増幅させるスペースなのかもしれない。
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