メルシャンがフランス老舗ワイナリーに出資する理由(2/2 ページ)
国内ワインメーカーのメルシャンがフランスの老舗ワイナリー、ドメーヌ・カズに出資し、約10%の株主となった。両社は10年前から販売パートナーとして協業してきたが、なぜメルシャンは出資に踏み切ったのだろうか……?
フランスワインの魅力を伝えたい
メルシャンが出資するもう1つの理由が、多様な商品ラインアップの確保である。日本のワイン消費数量は、2014年に35万670キロリットル、2015年には過去最高を更新する見込みで、7年連続の増加は確実となっている。その市場成長をけん引するのがチリワインである。1993年から22年間で日本への輸入数量は実に487倍と爆発的に増加し(関連記事)、ついに2015年にはスティルワイン(非発泡性ワイン)の年間輸入数量でフランスを抜いて初の1位に立った。
メルシャンでもこれまでチリワインの販売に注力してきたが、今後のビジネス拡大を考えたとき、やはり商品の多様性を提案していかなければならないとする。チリワインがコストパフォーマンスに優れた商品群だとすれば、高付加価値商品群としてフランスワインを強化したい考えだ。
ドメーヌ・カズやアドヴィニにとっても今回の出資は渡りに船。ここ数年フランスワインの生産量が伸び悩む中、チリワインをはじめ「ニューワールド」のワインに押されているのは事実だ。アドヴィニのアントワン・ルッカ社長は「フランスワインの魅力をもっと消費者に伝えるために、メルシャンと手を組むのは大きなメリットだ」と力を込める。
実はアドヴィニが社外から出資を受けるのは1870年の創業以来初めてのこと。メルシャンとは約25年前から販売パートナーとして関係性を保ってきたが、今回の取り組みが両社にとって大きな転換期となることは間違いない。
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