“再び”「ポッキー」が急成長できた理由:売り上げが5年で50億円も成長(2/3 ページ)
横ばい状態が続いていた「ポッキー」の売り上げを5年間で50億円も伸ばしたチームリーダーがいる――。チョコレートマーケティング部の小林正典部長だ。彼はどのようにしてポッキーの売り上げを伸ばしたのだろうか。
食べるシーンを提供し、行動をデザインする
まず、4〜5月は「春のお出かけキャンペーン」を実施。ゴールデンウィークなどに旅行をする人に対して、旅のお供としてポッキーを食べてもらおうという企画だ。単なるメッセージだけでなく、旅行会社と連携し「ポッキーを持っていくと観光バスが無料になる」施策などを展開した。
6〜7月は夏季限定商品を発売し「ポッキーを冷やして食べて触感や音を楽しもう」というメッセージを発信。9月は新作をPRするキャンペーンを実施し、11月11日には99年から続けている「ポッキーの日」キャンペーンを展開する。
特に力を入れているのが、2月の「バレンタイン」キャンペーンだ。商品名を改名し、義理用の「Giricky」、友チョコ用の「Tomocky」、告白用の「Sukky」――など10種類以上の商品名で販売。これが話題となり、大きく売り上げを伸ばしたという。
「購入機会を増やすだけでなく、売り場も大きく変えることができた。私たちはB2B2C。販売店も巻き込まなければ結果はついてこない。キャンペーンに合わせて販売店がポッキーを目立つ位置で販売してくれるようになり、優位に立てるようになった」
ポッキーが抱えていた課題はもう1つある。それは子どもの頃はよく食べていたが、年齢を重ねるに連れて離脱していった30代以上の層を呼び戻すことだ。
ポッキーは若い人だけが食べるもの――こうしたイメージを変えるため、1箱501円(税込)の“高級版ポッキー”「バトンドール」を2012年に開発。デパ地下や百貨店などで販売し、これも人気となった。他にも、2015年はウイスキーと一緒に楽しむことを前提に開発した「ポッキー〈大人の琥珀〉」を3万箱限定で販売。4日で完売となり、話題を集めた。
こうした取り組みの積み重ねによって、幅広い層のユーザーを獲得することに成功し、ポッキーはたった5年で50億円も売り上げを伸ばしていったのだ。
この功績に対して小林氏は「良いチームだったからこそ、実現できた」と強調する。どういうことか。
関連記事
- 甲子園で準優勝した仙台育英の監督がグラウンドに顔を出さない理由
今年の夏の甲子園で準優勝を果たした仙台育英学園高校。部員100人を超すチームをまとめるために、どのようなチームマネジメントを実践しているのか、仙台育英野球部の佐々木順一朗監督に話を聞いた。 - これぞ町工場の底力 廃業の危機を救った「おじいちゃんのノート」とは
あることをきっかけに、たった数カ月で創業以来最高の売り上げを出した中村印刷所。一体何があったのか。当時のことや、これからのことを社長の中村さんから詳しく聞いた。 - 東京下町の町工場が15年で取引先を120倍にできた理由
減少し続けている東京下町の町工場。そうした苦しい時代の中でも取引先を15年で120倍に、売上を20倍に増やし、成長し続けている町工場ある。 - 地方のフードコートでも行列 「いきなり!ステーキ」の快進撃が止まらないワケ
高級ステーキを安価で提供する「いきなり!ステーキ」は破竹のような勢いで快進撃を続けている。実は最近、ショッピングモールのフードコードでも絶好調らしい……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.