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巨艦メーカーの猛攻 アイホンが生き残る道は:消費トレンドから見る企業戦略の読み解き方(3/3 ページ)
名古屋市に本社を構えるインターホン専門メーカーのアイホン。あのグローバル企業との商標争いで同社を知った人も多いだろうが、インターホン・ドアホン業界で国内トップシェアを競う会社なのだ。
国内市場でビジネスを再構築
今後の方針として、2016年度スタートの中期経営計画でも示されているように、北米市場中心に海外拠点の拡大に積極的に取り組んでいくのは当然と言える。一方で、売り上げの7割を超える日本市場で再度強みを再構築することが最大の課題である。
重点とすべきは、アイホンの強みを生かす集合住宅でのシステム型商品によるハウスメーカーとの取り組み、セキュリティ関連サービスとしてのプラットフォームビジネスへ挑戦することだ。
「アイホン」ブランドはアイホンのコアとなっている。しかし、そのブランド認知はまだまだ業界関係者と名古屋都市圏居住者に止まっている。今後、国内市場においてアイホンが生き残るためには、なおのこと消費者にとって商品サービスを選ぶ際の「選択の手掛かり」となるブランドとして、あらゆる接点を通じて、新しいメッセージを届けることが求められているのだ。
著者プロフィール
大場美子(おおば よしこ)
JMR生活総合研究所ディレクター。生活研究に基づいたマーケティングリサーチとコンサルティングにより、主に消費財メーカーのブランド戦略、コミュニケーション戦略立案に関わっている。
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