シャープ、PC事業に再参入か?:ホンハイ傘下が強みに(1/3 ページ)
ホンハイ傘下のシャープがPC事業に再参入する可能性が出てきた。今夏、ホンハイとの共同開発でプロジェクター市場に再参入する予定で、今後はサーバやPCなどの取り扱いも検討するという。
シャープが自社ブランドによるNAS(Network Attached Storage)製品の国内販売を検討していることを明らかにした。親会社である鴻海精密工業(ホンハイ)が開発、生産しているNASを、シャープブランドの製品として国内投入する予定だ。
2017年夏には、5年ぶりにプロジェクター市場に再参入する計画を発表しているが、これもホンハイとの共同開発によるものだ。今後は、ホンハイが開発、生産しているサーバやPCなどの取り扱いも検討する。シャープは、2010年にPCの生産から撤退しており、シャープブランドのPC復活の可能性も出てきそうだ。
第1弾製品は「超短焦点プロジェクター」
ホンハイのNASの取り扱いを検討しているのは、複写機やPOS、デジタルサイネージなどを取り扱うビジネスソリューション事業部。2016年10月に大阪で行われた同事業の方針説明会では、ビジネスソリューション事業を統括するシャープ ビジネスソリューション事業本部長の中山藤一専務が、「ホンハイはネットワーク機器やリテール機器において、さまざまな商材を持っており、サーバ製品も幅広く取り揃えている。今後は、こうした製品を仕入れた展開も可能であり、品質保証やサポート体制を整えることで、シャープブランドで展開できる」と述べていた。
同じく昨年秋に開催されたIT技術の国際展示会「CEATEC JAPAN 2016」のシャープブースでは、ホンハイが製品化しているセンサー製品を数多く展示。今後、シャープがこれらの製品を取り扱っていく方針を示していた。
ビジネスソリューション事業において、ホンハイとの協業による具体的な製品の第1弾となるのが、2017年2月21〜22日、都内で開催した「シャープビジネスソリューションフェア 2017」に参考展示した超短焦点プロジェクターだ。2017年夏にも、シャープブランドの製品として国内市場に投入することを明らかにした。
シャープがプロジェクターを販売するのは、5年ぶりのこと。ビジネスプロジェクターとしては7年ぶりとなる。価格は未定だが、数十万円程度の予定だ。「同等の画面サイズが表示できる液晶ディスプレイに比べて半額以下で提供できる」(シャープ・中山専務)とする。
設計および開発はホンハイが行ない、画質のチューニングや安全基準などについては、シャープのノウハウを活用し、製品としての完成度を高めているという。
現行プロジェクターの多くは水銀ランプを採用しているため、約3000時間の寿命にとどまるが、レーザー光源を採用したことで、2万時間交換不要で利用できるのが特徴だ。約50センチメートルの距離があれば、100インチのスクリーンでの投影が可能であり、企業の会議室や商業施設、学校、監視ルームなどのBtoB用途を想定。複数のプロジェクターを組み合わせれば、大学の講堂などでの横長の大型スクリーンとしての利用も可能だ。さらに、シャープのタッチパネルのノウハウを組み合わせることで、投影した画面に文字を書き込んだり、手を使って拡大縮小の操作をしたりといったことも可能になるという。
シャープの中山専務は、「ホンハイは、プロジェクターの豊富なラインアップを持っている。その中から、シャープのビジネスソリューション事業の販路を通じて展開できるものを日本に投入していく」とし、今後もプロジェクターのラインアップを強化する姿勢を示す。
シャープビジネスソリューションフェア 2017では、プロジェクターのほかにも、ホンハイと共同開発したタッチパネルPOSターミナルを参考展示。5月から順次販売を開始する。同製品は、Windows 10 IoT Enterpriseを搭載。15型液晶パネルを搭載したタッチパネルモデルで、従来製品に比べて設置面積を75%にまで縮小している。製品企画はシャープが行い、開発は両社が担当。生産はホンハイの生産拠点を活用した。3モデルを用意しているが、日本では、需要に合わせて最上位と下位の2モデルを販売するという。
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