シャープ、PC事業に再参入か?:ホンハイ傘下が強みに(3/3 ページ)
ホンハイ傘下のシャープがPC事業に再参入する可能性が出てきた。今夏、ホンハイとの共同開発でプロジェクター市場に再参入する予定で、今後はサーバやPCなどの取り扱いも検討するという。
実は、ホンハイが持つ欧州などのサーバおよびPCの生産拠点は、ヒューレット・パッカードやデルの生産拠点を買収したものであり、その関係を基に、受託生産を継続している経緯がある。サーバやPCは、量産効果が発揮されやすい製品で、シャープはそこで生産された競争力を持った製品を販売できる環境を手に入れたとも言える。
中山専務は、「国内において、データセンター向けのサーバをやる予定はない。だが、オフィス向けのサーバのほか、デスクトップPCやノートPC、タブレットなどで、日本から要望があれば、仕入れることも考えたい。ホンハイは、ノートPCやタブレットではそれほど生産量が多くないが、デスクトップPCの生産では高い実績がある」などと語る。
SBSが、日本HPのPC販売ではトップディーラーの一角を占めるなど、高い実績を持つだけに、PCに関するさらなる販路の確保と、サポート体制が構築できれば、再参入の可能性もありそうだ。
「SBSには、PCを売る販路としてのパワーがある。そのルートを活用して、ホンハイで生産したPCを、シャープブランドで売ることは可能だが、今後は、そのメリットがあるかどうかを考えていく必要がある」と中山専務は語る。
ホンハイ傘下となったことで、シャープにはさまざまな商材を揃えることができる環境が整った。プロジェクター市場に5年ぶりに再参入するように、PC市場再参入の可能性も出てきたと言える。
著者プロフィール
大河原克行(おおかわら かつゆき)
1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。BCN記者、編集長時代を通じて、25年以上にわたり、IT産業、電機業界を中心に幅広く取材、執筆活動を続ける。現在、ビジネス誌、Web媒体などで活躍。PC Watchの「パソコン業界東奔西走」をはじめ、AVWatch、クラウドWatch、家電Watch(以上、インプレス)、日経トレンディネット(日経BP社)、ASCII.jp(KADOKAWA)、ZDNet(朝日インタラクティブ)などで連載記事を執筆。夕刊フジでは「まだまだスゴい家電の世界」、中日新聞では「デジモノがたり」を連載中。著書に、「松下からパナソニックへ 世界で戦うブランド戦略」(KADOKAWA)、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「図解 ビッグデータ早わかり」(KADOKAWA)などがある。近著は、「究め極めた『省・小・精』が未来を拓く――技術で驚きと感動をつくるエプソンブランド40年のあゆみ」(ダイヤモンド社)。
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