旅先で学ぶ、私たちが食べることの意味:内田恭子の「いつもそばに本があった」(4/4 ページ)
旅はいつだって魅力的だ。どこへ行こうかと考えているだけでも楽しくなってしまう。そんな旅先で出会うおいしい食べ物や素敵な人々。そこから私たちが学ぶことはたくさんある。
おいしい旅の終着駅
夕暮れ時に、釣りのボートを出してくれたユウタくん。やはりこの島に魅せられて移り住んできたとのこと。信じられないほどに美しい夕焼けを見ながら海釣り。この海には私たちしかいないのではないかという静寂さで、不思議と穏やかな気持ちになる。人生で初めて釣ったフエフキダイなどをそのまま持ち帰って調理してもらう。お刺身や揚げ物にしてもらって、何とも贅沢(ぜいたく)な食事。食べることは自然からの恵み、そんな当たり前のことを再確認する。
とにかくこの島にいるときは、いい意味で家族全員が別人だった(笑)。アトラクションもテレビも何もない場所、自然しかない場所で皆が心から楽しみ、ワクワクした。そして、今年もまた島のお客さまになりにいこうと話をしている。島が、自然が人を呼ぶとは、こういうことかもしれない。
「次の世代に、きれいな地球を残したいの。地球が汚れてきているから、そのうち人間なんていらないよ、って言われるかもしれない。(省略)権利ばっかり主張するんじゃなくてね。地球にお世話になっているんだから」
こう記されている「奇跡のりんご」の木村さんの言葉が忘れられない。おいしいものをいただくことは、自然に感動し、感謝するということ。それを決して失ってはならない。おいしい旅の先は、最終的にそこに辿り着くと思う。
著者プロフィール
内田恭子(うちだ きょうこ)
キャスター。1976年6月9日、ドイツ・デュッセルドルフ生まれ。神奈川県横浜市出身。1999年、フジテレビ入社。同局のアナウンサーとしてさまざまな番組を担当後、2006年に退社・結婚。現在はテレビ・ラジオ・雑誌連載・執筆活動などをベースに、読み聞かせグループVOiCEを立ち上げ都内の小児病棟などで読み聞かせを行い、また「女性のHappyは世界を変える」をテーマにLena’sを主宰し日々活動を行っている。公式ブログ「Dear Diary,」
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