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南三陸町で躍動する小さな会社の大きな挑戦:逆境を乗り越えて(2/5 ページ)
宮城県南三陸町で65年以上も前から鮮魚店を運営するヤマウチ。現在はECなど事業の幅を広げている同社だが、東日本大震災で店や事務所、工場はすべて壊され、ゼロからのスタートを余儀なくされた。しかしその経験で社員の仕事に対する価値観は大きく変わった。
とはいえ、アイデアや構想は頭の中にあったものの、現実的に震災後しばらくは人が住む場所もままならなかったので、工場の片隅を事務所代わりにするしかなかった。広さは10畳ほどで、窓もないような場所だった。そうした苦しい状況を何とか耐え、2016年夏に新しいオフィス兼工場を立ち上げたのである。
BRT(バス高速輸送システム)の志津川駅近くに建つそのオフィス内部は、まるで都心にあるスタートアップ企業のような雰囲気で、社員たちがコーヒーを飲みながらソファで談笑する光景が日常的に広がっている。とても水産加工の会社というイメージからはほど遠い。
「皆が生き生きと働ける場を作りたかった」と山内氏は話す。
「働いてくれる人がいなくなったら会社は終わりですからね」
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