日本が“New Space”で世界に勝つための条件:宇宙ビジネスの新潮流(3/3 ページ)
民間宇宙ビジネスイノベーション“New Space”が世界的な潮流となりつつある。この分野で日本の勝機はあるのだろうか? 有識者たちが議論した。
宇宙はビジネスの力で切り開く時代
当日には、内閣府宇宙政策担当の石原宏高副大臣が特別ゲストとして駆け付けた。「今や宇宙開発は国家主導で行うものだけではなく、ビジネスの力で切り開ける時代になってきた。こうした転換期にあって、我が国においてもさまざまなプレイヤーが宇宙ビジネスに参入しつつあることも頼もしく感じている。例えば、量産技術に長けた電機メーカーの小型衛星分野への参入、衛星データを用いた水産養殖業の効率化への挑戦や、世界最小のロケットを打ち上げるといった挑戦も行っている」と語り、会場に集まった登壇者や来場者に向けてエールを送った。
最後に、2015年に内閣府宇宙戦略室(当時)と共催として立ち上げたSPACETIDEだが、2016年には主催団体を一般社団法人SPACETIDE(代表理事:石田真康、理事:青木英剛、佐藤将史、水島淳)として同志で立ち上げ、今回からは民間主催・政府機関後援という形で、より民間主体の活動となった。またSPACETIDEには30人を超えるアドバイザーやボランティアが運営チームとしてかかわっている。今後も新たな宇宙ビジネスに携わる方々が一堂に会するプラットフォームとして、日本および世界の新たな宇宙ビジネスの発展に貢献していきたい。
著者プロフィール
石田 真康(MASAYASU ISHIDA)
A.T. カーニー株式会社 プリンシパル
ハイテク業界、自動車業界、宇宙業界などを中心に、10年超のコンサルティング経験。東京大学工学部卒。内閣府 宇宙民生利用部会および宇宙産業振興小委員会 委員。民間宇宙ビジネスカンファレンスを主催する一般社団法人SPACETIDE代表理事。日本発の民間月面無人探査を目指すチーム「HAKUTO(ハクト)」のプロボノメンバー。主要メディアへの執筆のほか、講演・セミナー多数。
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