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衰退一途の今治タオルが息を吹き返した“大事件”:伝統産業の復活劇(5/5 ページ)
愛媛・今治の地で100年以上前から続くタオル産業。長らく日本有数の産地として発展を遂げたが、1990年代に入ると中国産の安い製品に取って代わられるなど、生産量が激減した。そこからどのような復活劇を遂げたのだろうか――。
11年前、今治タオルプロジェクトがスタートしたころ、今治という地名を聞いても具体的なイメージを想起する人は少なかったという。ところが現在は、今治タオルだけでなく、自転車サイクリストの聖地になった広島・尾道と今治をつなぐ「しまなみ海道」、ゆるキャラの「いまばり バリィさん」、さらには元サッカー日本代表監督の岡田武史氏がオーナーを務めるFC今治など、人々の注目を集める物事があふれている。
近年は観光客数も伸びていて、2015年度には284万1271人と過去5年間で40万人以上増えた。今治タオル本店にも日本人観光客はもとより、中国や台湾、ベトナムなどの外国人観光客がやって来るそうだ。
また、町が活気付くことで、例えば高校卒業後に地元を離れた若者が、就職、転職などを機に再び今治に戻って来るケースも見られるようになった。地元の人たちの多くもおらが町が全国に知られるようになったことを素直に喜ぶ。
タイミングは偶然だったのかもしれないが、今治タオルがこのきっかけになったことは間違いない。そして、それに引き寄せられたさまざまな点が結び付いて線になり相乗効果が生まれ、ついには面となって今治全体のブランド力を高めるほどになった。
これからの日本の地域経済を考える上での重要なモデルケースとして動向を見守りたい。
(取材協力:今治タオル工業組合)
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