ウォーリーをさがすように、「顧客」を見つけることができるのか:営業部 AI課(3/4 ページ)
「自社製品を購入する人」を見つけてくれるサービスが、米国で広まりつつある。「LeadCrunch(リードクランチ)」という会社が提供する営業支援ツールだが、具体的にどのようなものなのか。導入企業の実績をみると……。
どのようにして「ウォーリー」をさがしているのか
では実際に導入した企業が、どう「ウォーリー」を見つけだすことができたのか、見てみたい。
カリフォルニア州サンディエゴを中心に、中型トラックのカーシェアサービスを提供する「ゴーシェア」。2014年に立ち上げられた同社は、配車サービス大手のウーバーのトラック版で、引越しや大きな買い物をした時など大きめのクルマが必要になったときに利用できるサービスだ。GPSで確認して最寄りのトラックを呼ぶと、運転手付きの中型ピックアップ車などが登場し、客と荷物を乗せて、目的地まで運んでくれるのである。
同社はさらなる事業拡大の資金を調達しやすくするために月30%の成長を目標に掲げた。そして、それを達成するためにリードクランチの導入を決めた。
リードクランチのAIツールからビジネス契約の見込みがある客の情報を得たゴーシェアは、導入後1週間ほどで変化を見せ始めたという。新規開拓のためのコストを劇的に減らすことに成功し、営業そのものに時間を費やせる時間が以前の3倍にもなった。
営業先を闇雲に探す手間がなくなり、精度の高い見込み客リストを手にできるため、契約交渉に集中できるというわけだ。また、これまで進出していなかった周辺地域での新規開拓でも効率が倍増した。結局、ひと月の見込み客獲得数は300%増え、投資利益率(ROI)は500%になり、3カ月で成長率は3倍になったという。
また企業ニュースなどを提供する米アントゥレプレナー誌は、リードクランチを注目企業として取り上げた記事の中で、同社のAIサービスを導入した企業のこんなケースを紹介している。月10ドルの料金でグーグルの拡張機能を売っていた「Ebsta」という米IT企業が、リードクランチと契約。リードクランチに自社の顧客100人の情報を渡して分析を依頼し、そこから導き出された見込み客のリストを利用するようになった。
Ebstaによると、リードクランチから提供される情報は、社内で裁量権のある人物の名前とメールアドレス、電話番号までがリスト化されており、使い勝手がよかったという。これによって、担当者を見つけるアポ取りの時間などが削減でき、実際にそれまで平均35日かかっていた企業との面談までの時間が、平均10日と飛躍的に効率化された。
関連記事
- AIに関する「よくある誤解」10選
AI(人工知能)への関心が高まった2016年。多くの企業がAI技術をビジネスに生かそうとしており、AIを活用した製品やサービスの発表が相次いでいる。しかしその一方で、AIに対する誤解も見られるようになっている。ガートナー ジャパンが10の「よくある誤解」を発表した。 - あなたは大丈夫? 10〜20年後、人工知能に奪われる仕事100
人工知能によってあなたの仕事が奪われるかもしれない――。このような不安を感じている人も多いのでは。ある調査によると「労働人口の49%が人工知能などによって奪われる」という結果がでたが、この数字をどのように受け止めればいいのか。 - AIに投資を任せる時代 市場はどう変わる?
このところ人工知能(AI)技術を活用した資産運用サービスへの関心が高まっている。投資の世界にAIの技術が導入されれば、多くの人にとって恩恵がもたらされる可能性がある。一方で、資産運用の多くがAIで行われるようになった場合、市場の動きはどうなるのかという疑問も生まれてくる。今回は、AIによる資産運用に関する期待と課題について述べていく。 - AIビジネスの“カンブリア爆発”が始まる
2015〜2016年にかけて、AI(人工知能)は人間を超える「目」と人間並みの「耳」を持った――。目を持ったことでカンブリア紀に生物が爆発的に増えたように、AI搭載の製品やサービスもこれから爆発的に増えると考えられる。2017年以降、そのAIビジネスをけん引する企業とは……。 - 人工知能が未来を予測! 世界初&日本発の新サービスがスゴそう
「AIが未来を予測するようになった」――。このように聞くと、ぎょっとする人もいるかもしれないが、1年先の未来を予測してもらうことで、私たちの働き方が変わりそうなのだ。AIを使った予測マーケティングのサービスを提供している、WACULの大津社長に話を聞いた。 - AIは営業の仕事をどう変えるのか?
「AIに奪われる仕事」についてはなんとなくイメージできても、「AIが自分たちの仕事にどう影響を与えるか?」についてはうまく想像できない人も多いのでは。営業職や店舗販売員の仕事は、AIによってどう変わるのだろう。AIに営業の仕事は奪われてしまうのか……? - 「営業」の仕事はAIでどう変わるのか
AIの普及によって営業の仕事が大きく変わろうとしている。10年後の社会においてセールスパーソンに求められる能力や評価基準は今とはまったく違ったものになっているはずだ。AI時代に営業のプロとして生き残っていくために必要なスキルとは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.