市民アスリート集団が開発する健康サービスの“ホンキ度”:ユーザー心理をわしづかみ(1/6 ページ)
ヘルスケアサービスなどを提供する、ネオスという東証1部上場の会社がある。同社のサービスは利用者の気持ちを心底分かっていると人気だ。なぜなら開発メンバーの社員たち自身が市民アスリートとして同じような悩みや課題を経験しているからだ。
「外で打ち合わせが終わると、『じゃあ』と言って、全員が、自分の家の方向に向かって走り出すのが普通ですね」――。
健康関連サービスなどを提供する東証1部上場企業、ネオスでヘルスケアサービス部の秋元直樹マネジャーは、日常の様子をこんな風に語る。
同じ部に所属する古田恵一シニアマネジャーは、「昨日の帰りは、会社を出た後、皇居を2周してから、自宅まで走って帰りました。月300キロメートルは走っていますよ」と何事もなく言い放つ。
同社ヘルスケアサービス部には、12人の社員が所属する。ほぼ全員が、マラソンをはじめ、何かしらのスポーツを日常的に楽しんでいる。部長の星野克茂氏に至っては、世界的にも過酷なレースと言われる「サハラ砂漠マラソン」に参加。2016年4月には、7日間に渡って250キロの砂漠のコースを完走してみせた。カニのかぶり物を頭にかぶって、周囲とコミュニケーションしながら走破する姿は、「世界のカニさん」として一部で有名だ。
そうした市民アスリートたちで構成される、ネオスのヘルスケアサービス部が、数々のヘルスケアサービスを生み出している。統合健康サービス「KaradaManager」、活動量・歩数計測アプリ「Renobody」、ラーニングコミュニティー「サブスリー塾」などだ。コンシューマー向けのサービスとして同社が自ら提供するだけでなく、法人向けサービスとして、十数社にカスタマイズした形で供給している。
これらのサービスの創出には、市民アスリートだからこその視点と、チームの共通認識とこだわりがベースにありそうだ。
80万人が活用するダイエット・健康管理サービス
ネオスは、通信キャリアやスマホメーカー、サービス事業者に対して、モバイルに関する技術やコンテンツを総合的に提供する「スマートプラットフォーム事業」、法人企業のリアルビジネスをインターネットやモバイルサービスを通じサポートする「コーポレートサービス事業」で構成。それぞれを自社製品やサービスとして提供するプロダクト&サービス事業と、技術やノウハウをカスタマイズして提供するソリューション事業という縦串で展開している。東証1部に上場しており、グループ連結で245人の従業員規模だ。
同社が08年11月から提供しているのが、KaradaManagerである。元々はau向けサービスとして、KDDIと共同開発したものだったが、その後、各キャリア向けにもサービスを提供。今では国内最大規模のダイエット・健康管理サービスとして、約80万人が利用している。
関連記事
- シャープ、PC事業に再参入か?
ホンハイ傘下のシャープがPC事業に再参入する可能性が出てきた。今夏、ホンハイとの共同開発でプロジェクター市場に再参入する予定で、今後はサーバやPCなどの取り扱いも検討するという。 - 鴻海からの“心遣い”を、シャープはどう受けとめたのか
台湾の鴻海によるシャープ買収決定後に開かれた共同会見において、鴻海・郭会長兼CEOはシャープのイノベーターとしての歴史をべた褒め。ところが、両社の経営に対する基本姿勢はまるで異なるものなのである。 - 富士通が島根でロボット生産に踏み切った理由
富士通のPC生産子会社の島根富士通が、ロボットの生産に乗り出した。PC製造で培ったノウハウなどを生かすことで、新たな事業として立ち上げ、今後のビジネス成長のドライバーにしたい考えだ。 - エプソン、国内プリンタ事業拡大へ大勝負
セイコーエプソンおよびエプソン販売が、大容量インクタンクを搭載した新製品を投入する。初の日本市場専用モデルということで、同社にとっては国内プリンタ事業の転換に大きな一歩を踏み出すものになるはずだ。 - 4年で1億台以上も消滅! 凋落するPC市場に未来はあるのか?
PC市場の縮小が止まらない。米ガートナーなどの調べによると、この4年でPC出荷台数は1億台以上も減少、市場規模は約3分の2になってしまった。このままこの市場は縮小の一途を辿るのだろうか……? - 売上高53億円を超えた! 「オフィスグリコ」が成功した3つの理由
皆さんの会社には「オフィスグリコ」はあるだろうか? 江崎グリコがこのサービスを本格展開し始めてから十数年のうちに売上高は17倍以上の53億円に。その成功の秘密に迫った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.