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日本でも変わりつつある食品スーパーの常識繁盛店から読み解くマーケティングトレンド(1/3 ページ)

日本の食品スーパーマーケット業界が転換期に差し掛かっています。今や単に食品を販売するだけでは消費者も物足りなくなり始め、新たな業態に変革しなければならない時代に突入しました。その切り口の1つが「グローサラント」です。どのようなものでしょうか?

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東京駅構内にオープンした新時代の食品スーパー「EATALY(イータリー)」
東京駅構内にオープンした新時代の食品スーパー「EATALY(イータリー)」

 日本の食を長らく支えてきた食品スーパーマーケット業界が転換期に差し掛かっています。

 これまでは米国に習い、大型の店舗を構え、食料品をズラリと並べるような大量陳列、セルフ販売をしてきたのが食品スーパーの売り方の常識でした。しかし、今では食品を販売するだけでは消費者も物足りなくなり始めました。スーパーも新たな業態に変革しなければならない時代に突入しました。その切り口の1つが「グローサラント」です。

 今回はグローサラントへと変化しつつある日本の食品スーパーのトレンドからマーケティングを考えます。

ニューヨークで人気のEATALYが東京駅構内にオープン

 8月30日、東京駅構内の商業施設「グランスタ」に、米・ニューヨークでも大人気の「EATALY(イータリー)」がオープンしました。イータリーは創業当時から「Eat Better,Live Better」をコンセプトにした店舗で、「食べる、買う、学ぶ」が体験できる食物販とレストランが融合したのが最大の特徴です。私もニューヨークに行ったらイータリーには必ず立ち寄ります。

 「イータリー グランスタ丸の内店」の店舗面積は約150坪。レストラン席数80席、カフェ席数30席という国内最大規模の店舗となりました。売り上げ構成比は物販50%、飲食50%を想定していて、スーパーというより、食品併設型のカフェ・レストランと呼んだほうがいいかもしれません。海外では料理教室も併設していて、ワインを飲みながらイタリア料理を学ぶという光景がよく見られます。

 イータリーは2007年にイタリアで創業し、現在、イタリアに23店、ニューヨークやドバイなど世界に38店舗を展開しています。日本には08年に日本法人を設立して代官山などに出店しましたが、立地や品ぞろえの問題もあり拡大はできませんでした。それが15年に三井物産、飲食チェーンのきちり、EATALY社による合弁会社のイータリー・アジア・パシフィック社に事業を譲渡しました。日本橋三越に出したインショップを経て、今回、日本では初めての比較的大きな出店となりました。比較的と言うのは、本来なら1000坪程度で出店するのが同社のパターンで、“食のディズニー”とも呼ばれるほどの魅力を持っている店だからです。スケールは小さめではありますが、今後の日本での展開強化の出発点になるだろうと思われます。

イータリー グランスタ丸の内店のレイアウト
イータリー グランスタ丸の内店のレイアウト

 イータリーはイタリア全土の小規模生産者から集めた食材と、その食材を生かしたイタリアの郷土料理を提供する店です。同店は午前7時から午後11時までオープンする駅ナカ店舗ですので、周辺のビジネスマンやキャリア女性にも重宝される店舗となるでしょう。

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