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「東京も海外も同じ」 ベアレンのビールが岩手に密着する理由地元が最優先(3/5 ページ)

2001年、盛岡市で創業したクラフトビールメーカーのベアレン醸造所。同社は地域密着を掲げ、地元の人たちに愛されるビール造りを心掛けている。なぜそのことに徹底的にこだわるのか。創業メンバーの1人である専務の嶌田洋一さんに聞いた。

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1900年製のモルトミルを使うわけ

 ただし、文化として地元に根付くためには当然、おいしいものでなくてはならないはずだ。ベアレンが造るビールの特徴とは何だろうか。

1900年製のモルトミル
1900年製のモルトミル

 1つは製造方法に見られる。実は嶌田さんへのインタビュー中、スタッフが「ミルを回していいですか?」と嶌田さんに声を掛けてきた。嶌田さんが了承すると、次の瞬間、驚くような大きな音が聞こえてきたのだ。

 尋ねると、同社では1900年製のモルトミル(麦芽粉砕機)を導入している。わざわざドイツから取り寄せた代物だ。国内で使っているのは同社だけで、他社はもっと小型でモーターが付いたシステムを使っているという。同社がこの古びたモルトミルを使う理由は何だろうか。

 「古い設備を使うのは、単にノスタルジーということではなくて、コンピュータ制御されてない手作業の部分を大切にしているからです。自分の目で見て、手で感じてといった作業がビールには多いのです」と嶌田さんは説明する。

 加えて、同社では上部が完全に開いているプールのようなタンクでビールを初期発酵させている。これも古来のタンクである。一方、他社は密閉タンクを使う。なるべく雑菌などが入らない、雑味なくキレイにするのが現代のビール作りだからだという。

 「リスキーな面がありつつも、個性を引き出す。プラスの要素を入れていることに積極的になりたいと思っていて、それができるのが古い設備のいいところかもしれません」

 また、大手のように大量生産、均一化ではなく、毎回の仕込みで変化が付けられるのもクラフトビールの面白味だという。

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