「東京も海外も同じ」 ベアレンのビールが岩手に密着する理由:地元が最優先(4/5 ページ)
2001年、盛岡市で創業したクラフトビールメーカーのベアレン醸造所。同社は地域密着を掲げ、地元の人たちに愛されるビール造りを心掛けている。なぜそのことに徹底的にこだわるのか。創業メンバーの1人である専務の嶌田洋一さんに聞いた。
東京も海外も一緒
こだわりの醸造所でビール造りを続けてきたが、生産量が伸びるにつれ、いよいよ施設のキャパシティが限界となった。現在の生産量は年間500キロリットルだが、もう貯蔵タンクの置き場がなくなってしまったという。事務所と壁を1枚隔てたところで瓶詰めを行っているほどの状況なので、もはや新しい設備を建てるしか選択肢はない。
そこで新工場(19年度に稼働予定)を建てるとともに、初めて缶ビールの製造も開始することになった。さらにそれを海外に輸出していく方針も打ち出している。
「まだ地元でもできることはたくさんありますが、ある一定の形はできつつある。そういった地元に親しまれているビールというストーリーを打ち出しながら、外に展開する良い時期にきたと考えています」
いきなり海外というのは思い切った取り組みでは、と聞くと、嶌田さんは「県内とそれ以外という風に捉えています。ですから東京と海外も一緒。もちろん売りやすさは国内のほうにあるでしょうが、あまり分けて考えていません。東京で売るなら、オーストラリアで売っても同じだよねという感覚でやっています」と答える。
ただし、世界の市場には競合となるビールが数え切れないほどある。そこも嶌田さんはポジティブに見ている。
「ビールという商材は世界の市場で鍛えられる商材です。そしてワインなどと異なり、世界中で同じ原料が流通しているので、テクニックさえあれば世界に負けないビールを造ることができるのです」
世界にベアレンのビールをアピールすることで、同時に岩手という地域を広く伝えていきたいという。岩手で愛されている、地域に根差したビールを飲んだ海外の人たちが岩手に興味を持ってもらうきっかけを作りたいのだ。
「私たちも海外のおいしいビールを飲んで感動したら、現地に行ってみたいと思います。だから自分たちもそういうビールが造れたらいいな」
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