私たちの心は「スマホ」に乗っ取られたのか:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
海外メディアを見ていると、以前からデジタル機器に人々が依存している問題が話題になっているが、最近、またスポットライトが当たっている。デジタル機器やコンテンツへの依存は私たちにどんな影響があるのか。調べてみると……。
先日、何人かの外国人記者たちと話をしていたときのこと。
スイス人の女性新聞記者が、3歳の娘の話を始めた。iPadを上手に使いながら、長時間、YouTubeなどの動画を見ているという。あまりに熱中するので、最近iPhoneやiPadの使用時間を制限したいということだった。するとそれに対し、自分の子ども2人にiPadを使う時間を厳しく制限しているというイタリア人記者が、子どもがスマートフォンやタブレット端末などを長時間使用するのは「脳の発達によくないらしい」と説明していた。
日本でも知人が同じようなことを言っていたばかりだったので、世界中で同じような問題が起きているのだと実感した。
海外メディアを見ていると、以前からデジタル機器に人々が依存している問題が話題になっているが、最近、デジタル依存についていくつかニュースが報じられたことで改めてスポットライトが当たっている。そうした報道をきっかけにさまざまな悪影響を調べてみると、やはりデジタル機器やコンテンツへの依存は私たち1人1人にとって軽視できないものだということを再認識させられる。
2018年1月6日、米Apple(アップル社)の大株主である投資ファンドのジャナ・パートナーズとカリフォルニア州教職員退職年金基金という2組織が、アップル社に書簡を送って、iPhoneやiPadなどのテクノロジーが子どもの健康にどんな影響を与えるのか考慮して対策をするよう求めたことで大きなニュースになった。この2組織は約20億ドル相当の株式を所有しているという。
2組織がまとめた書簡によると、米国では、子どもが最初のスマホを所有するのは平均10歳で、10代は1日4.5時間以上、スマホをいじっているという。また10代の8割近くが1時間に一度はスマホをチェックし、半数以上が自分はスマホにアディクト(依存)していると認識しているそうだ。
さらにこの書簡は、テクノロジーが子どもにどんな影響を与えるのかを世界の研究や論文から引用して、リストにしていた。例えば、カナダのアルバータ大学と米研究機関「メディア・小児保健センター」の研究では、調査を受けた教師2300人の67%が、教室でデジタルテクノロジーによって注意散漫になる生徒の数が増えていると答えている。さらに教師の75%は教育的な課題に集中する能力が低下していると指摘している。
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