人気者になるために、フォロワー購入はズルいことなのか:世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)
TwitterのフォロワーやFacebookの「いいね」の数を大量に購入している――。米ニューヨーク・タイムズ紙が購入者を実名で明らかにしたが、こうしたズルい行為のどこに問題あるのか。私たちの生活には関係ないと思っていたら……。
若者たちがクリックしている現実
では、どういう人たちがどのようにフォローや「いいね」を行なっているのか。Devumiでは偽アカウントやボットなどを駆使しているようだが、実は先日、そうした手口の一端が垣間見られる話を聞いた。
昨年、筆者は中東のエジプトを取材で訪れ、その時に通訳として数日行動を共にしたエジプト人の知人が、移動中の車内でこんなことを言った。「お前はTwitterのアカウントや、Facebookのページを持っているのか? フォロワーの数はいくつだ? Facebookの『いいね』の数は?」
さらに知人はこう畳み掛けた。「オレの知り合いに、TwitterやFacebookで、フォロワーになったり『いいね』を押す手伝いをしている奴がいる。紹介しようか?」
明らかに怪しい話である。だからこそ、興味深い。筆者は帰国後に手伝いをしているというその人物とやりとりをし、フォロワーや「いいね」のサービスがどう行われているのかを尋ねてみた。
「私が協力しているこのビジネスの運営をしているのは、インド人だ。ある時知り合いから、フォロワーや『いいね』のクリックをしてくれる人を探しているとのことで、私もFacebookの友だちにお願いするようになった。インド人が大量のアカウントを管理していて、いつでも動員をかけられるようにしている」という。特に「報酬」は受け取っていないが、最初に話をもってきたインド人の直接の知り合いはカネをもらっている可能性はあるとも指摘した。
見返りもなくそんな手伝いをするとは思えないが、この人物はあくまでカネはもらっていないと主張した。ただ代わりに、自分のビジネスや投稿にしょっちゅう大量の「いいね」をしてもらっているという。おそらく自動に「いいね」するようシステム化されているのであろう。
筆者は、実際にフォローや「いいね」をしている人物にも接触することができた。この人物は10代後半で、Facebookでは、メキシコの政治家から米国の作家、イスラエルのミュージシャンから台湾の会社社長など普通なら知り得ないと思われる人たちを含む7000件近い「いいね」を押している。
この若者は最初は何を聞いても「no thanks」と答えてきたが、しつこく質問すると「友人に頼まれて、指定されたページに『いいね』をクリックした。カネはもらっていないよ」とメッセージしてきた。
もちろんさまざまな形態やサービスがちまたには存在しているので、これはあくまで一例であるとこを断っておく。だが実際にフォローや「いいね」をして金もうけをしている人たちの下では、こうした中東などの若者たちがクリックをしている実態もある。
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