資金調達の「常識」が変わろうとしている:財務特集スタート(4/5 ページ)
資金調達を巡るパラダイムシフトが起きている。背景にあるのは、金融とITを結び付ける新しいテクノロジーの台頭である。資本は経済の原動力であり、その流れが変わるということは、ビジネスの仕組みそのもにも影響が及ぶ。新しい資金調達の手法やその可能性、そしてリスクについてまとめた。
テクノロジーが可視化した「見返りを求めない投資」
既存の枠組みやルールが必ずしも通用しなくなるという点では、クラウドファンディングや、個人の知名度を事実上の金融商品にしてしまったVALUといったサービスも同様である。
クラウドファンディングはネットなどを通じて、企業や組織、個人などが不特定多数から資金を調達する手法だが、ひとくちにクラウドファンディングといっても、その内容は多岐にわたる。
非営利のプロジェクトに寄付を募るパターンもあれば(寄付型)、支払いの対価として何らかの製品やサービスを購入できるもの(購入型)、確保した収益の一部が分配されるというもの(投資型)もある。投資型の場合は、実質的には投資ファンドと同じになるので、金融商品取引法の規制を受ける。
クラウドファンディングは、ネットを活用した仕組みこそ斬新だが、基本的には寄付や投資など、既存のルールで解釈しやすいスキームであり、企業がこれを応用することはそれほど難しくないだろう。だが、個人の知名度を擬似的に株式化したVALUの場合、従来の枠組みを機械的に当てはめてしまうと、思考停止に陥ってしまう可能性がある。
VALUにはホリエモンやイケダハヤト氏などの有名人が自身の疑似株式を上場している。売買の仕組みは株式そのものだが、彼等は投資家に対して何らかの見返りを約束したわけではない(配当などを約束すれば、有価証券と見なされる可能性が高い)。
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